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2012年第94回神奈川大会組合せ表[外部リンク] 
 

 


8/10 桐光学園・松井裕樹投手,22奪三振の快挙
 
 
最初はラジオで聴いていたのだが、テレビを見られる状況になったので、6回途中からテレビ観戦した。

管理人がテレビで見始めてから、試合終了までの今治西の全てのアウトが三振だった。
(10連続奪三振!)

相手の今治西高校は、甲子園での知名度で言えば、桐光よりずっと上だと言える。
今年は地区予選はノーシードだったとはいえ、計6試合を戦っての三振の合計はわずか24という堅さを持ち合わせたチームでもある。
(記録逃れのバントなどを仕掛けなかったことで、彼らは称賛されるべきであろう)

一見、小柄な松井くんだが、県大会でも46イニングで68奪三振というデータが残っているように、時として四死球もあるが、地区決勝の桐蔭学園戦でも15奪三振。
今日の快挙が神懸かりというわけではないのだと思われる。

にしても、これまでの記録が19だったことを考えると、一気に3つも更新したことになる。
物理的には更なる記録書換も可能だが、それは最早狙って達成できるものではなかろう。

かつて、1968年のメキシコオリンピック走り幅跳びでアメリカのボブ・ビーモン選手が出した8M90という大記録がマイク・パウエル選手に更新されるまでに23年掛かったという事実を鑑みても、あまりに凄い記録があると、そこで気持ちが萎えるというのは万国共通だ。
(とはいえ、野球は三振を取るために存在する競技じゃないのが救いだが)

...実は、桐光の野呂雅之監督は管理人と早稲田大学教育学部の同期入学。
(もちろん、友だちではありませんが...。ちなみに早実の和泉実監督も同期ですが、もちろん友だちではありません)

そうした微かな繋がりで、彼のチームを育てる手腕に注目していたが、とにかく重厚感がある。

ほぼ神奈川県出身者だけでのチーム構成(今夏はベンチ入り18名中2名が東京出身で、他は神奈川出身)で、この15年に4度の夏の甲子園出場は、その結果だけを見ても素晴らしい。

一人のスーパープレーヤーに依存することなく、毎年毎年きちんとチームを仕上げるというのは、「連続好き」の管理人のストライクゾーンにぴたりとはまる。

野呂監督の今回の松井投手による大記録に対するメッセージを紹介しておきたい。
(ニッカンスポーツより)

「三振を取れという指示はないので、全力で投げろと言いました。松井は四球が多い子なので、今日はいい思い出にして、次は無四球完投を目標にしますか。」

絶妙な色調のコメントかと。

2回戦以降も頑張ってもらいたいと思います。
 

8/7 なんと明日から甲子園らしい&オリンピックに思うこと
 
お久しぶりです。

2週間更新していなかったので、既に読者がいるのかどうかが心配ではありますが。

何しろ慌ただしかった...

鶴嶺高校の4回戦のあと、恒例の吹奏楽コンクール[詳しくはこちら]の取材に行ったのだが、既に本業の夏期講習も鉄火場の如くに盛り上がりを見せているため、昨日まではこの「雑記」を書いている余裕もなく...

で、気がついてみると、高校野球は神奈川県の代表はおろか、全ての代表校が出揃い、明日から甲子園とのこと。

管理人は週刊朝日増刊号『甲子園』とNumber(文芸春秋社刊)夏の甲子園特集号『あの夏を語ろう 甲子園・夢の再会』を慌てて購入。

散在の割に、ちゃんと読む時間もなく、今のところ甲子園のことを語れるだけの言葉を持たず。

とりあえず、神奈川代表の桐光学園は愛媛代表の今治西と9日に1回戦らしい。

桐光学園は5年ぶりの代表とのことだが、その県大会での安定ぶりは尋常ではない。
詳しくは、また後日書けるチャンスがあるかと思うが、平成10年以降、4回の県代表を含め、22年の5回戦敗退が最も悪い成績で、準優勝・ベスト4もそれぞれ4回、ベスト8が2回。

激戦区神奈川で、この安定した戦いぶりを導いた指導陣には本当に頭の下がる思いだ。

でもって 、オリンピックもいつのまにやら始まり、既に半分終わっているらしい。

いやいや、ちょっとは見たんだけど、頭が朦朧としてしまって、ただでさえ記憶が混濁する管理人は、それが夢だったのか現実なのかよくわからない始末だ。

ま、いいや。

これまで最も感動したのは、陸上女子1万メートル。

福士加代子・吉川美香・新谷仁美の3選手が日本代表として走ったのだが、彼女たちはスタート直後から中盤まで、持ちタイムでは圧倒的に上回るアフリカ勢の前に出て、レースを引っ張った。

これを“駄馬の先走り”と言うのはたやすい。

しかし、これまでの多くの長距離日本人選手が「何とかついていって、終盤落ちてきた選手を何とか拾う」という戦術を敷いていたのに較べ、自分のペースで走ることで無駄な体力のロスを避け、後半にも勝負するチャンスを可能な限り残すというあの走りは、多くの高校生がいろいろなことをすぐに投げだしがちなのを日々垣間見ている管理人にとって、見習って欲しいものであった。

また、高校生に対して、というばかりでなく、疲れや遊びへの誘惑に負けることの多い自分(えらい告白になってしまった...)へも何らかのメッセージをもらった気がした。

ところで、ロンドンオリンピックでは体操・ボクシング・柔道といった採点競技で、何とも後味の悪い「判定の覆り」があった。

それでも体操は採点システムが以前より明瞭になり、スローでの映像再生なども活用するようだから、まだ納得もできるが、他の採点競技ではどうしてもうやむやさ(つまり、選手・コーチなどの当事者にとって承服できづらい点)が残る。

管理人はかなり昔から、スキーのジャンプに「飛型点不要論」を唱えているが、今以てその必要性はわからない。

ボクシングやグレコローマンスタイルのレスリング(下半身への攻撃が許されない)が、採点の不明瞭さがきっかけで、オリンピック種目から外される時が来るのではないかと、やや心配だ。

というか、オリンピックというイベントそのものが巨大化しすぎたため、そこでの勝負に過剰な反応をする人間も増えたということかもしらんが。

...しばらくオリンピックと高校野球を静かな気持ちで見てみようと思います。
 
 

7/23 鶴嶺1−10横浜隼人 臆せず。出した“鶴嶺スタイル”
 
正直言って、力には差があった。
何しろ相手は春の県大会を制している。

それは試合前からわかっていたことであり、あまり問題にはならないだろう。

問題とすべきは、鶴嶺がここまで勝ち上がってきた形をこの試合でも作り、相手を慌てさせられるかどうか、という点にあると考えていた。

どれほど強いと言っても、相手も高校生なので、得意の形で仕掛けて、ペースを乱せば、展開はわからない。
特に先制すれば、それは現実のものとなる、と管理人は考えていた。

結果は隼人の力が勝り、7回コールドとなったが、随所に鶴嶺らしさが見えて、大会に入ってからの成長ぶりが窺えた。
 
最後の打者となった両村くん。君はまだ2年生。来年また頑張って下さい。部活ネットでは応援を続けます
 
 
鶴嶺の健闘を称える (1)内野ゴロゲッツー2つ
 
1回ウラと6回ウラに内野ゴロゲッツーを2度成就させた。

1回は大量失点になるのを阻み、6回はコールド成立を防いだという意味で、価値ある守りであったし、その流れはひじょうにスムーズであった。

ショートで主将の高橋くんは、左の写真の通り、右肘を痛めて、送球にかなり影響があったが、どちらにも無難に絡み、「守りの鶴嶺」の象徴として機能した。

目指していた「守って勝つ野球」の片鱗をこの試合でも発揮したと言えるだろう。

このチームを昨秋から見てきて、彼らの守備が最初から上手かったとはとても言えない状態で、守りから崩れた試合もあった。
 
しかし、個人もチームも成長するということが、彼らを見ていて実感できた。

この経験を大切にしてもらいたい。
 
鶴嶺の健闘を称える (2)バント戦術の徹底
 
初回、一死から両村君がセンター前ヒット。
続く柳本くんが一塁線にあっさりと送りバントを決めた。

鶴嶺高校のこれまでを知る者にとって、ごく自然な流れであった。

これは得点に結びつかなかったが、隼人に4点を先制された2回、先頭の関谷くんが相手のエラーもあって無死二塁となった場面でも、写真左の鈴木くんが三塁線にバントで1点に執着する姿勢を見せた。

これこそが亀山監督が率いる鶴嶺高校野球部のスタイルであり、けして消極的な戦法ではなく、取り得る最大の積極策なのだ。

そして、この送りバントが二死後、池田くんのタイムリーヒットに繋がった。
 

強豪相手にまず1点取ろう、という合言葉でこの試合に臨んだ鶴嶺。
それが成就した瞬間であった。

隼人を相手に臆せず、普段着の野球を徹底したこの試合は、のちに鶴嶺高校野球部のターニングポイントとして語られるかもしれない。

少なくとも、夏のトーナメントの“戦い方”の経験値を大きく積み上げたのではなかろうか。
 

鶴嶺の健闘を称える (3)踏ん張った投手陣
 


隼人打線は凄かった。

鶴嶺の先発は1回戦・3回戦完投の森野くん。
これは、隼人という横綱相手にわずかでも勝てる可能性を考えると、緩急が冴えた時の森野くんだという監督の選択であった。

その森野くんに隼人打線が容赦なく襲いかかる。

先頭打者にライト前ヒット、二番打者にセンターオーバーの二塁打を打たれ、まさしくあっと言う間に先制された。

制球が乱れた、守りが崩れたという類の失点ではなく、隼人打線の狙い球を絞った振りの鋭さが森野くんの投球を上回ったというのが正しいだろう。

3回からリリーフに立った日向くんは、その後の攻撃を3点に凌いで、何とか力を示したが、それでも9本のヒットを打たれている。

二人はよく踏ん張ったと言っていいだろう。

タイプの違う投手が機能することで勝ち進めることを教えてくれた、森野くん・日向くんは、今後の鶴嶺のチーム育成方針に寄与することになるはずだ。

お疲れ様でした。
 
隼人高校へのエール
 
  
隼人投手陣。左から先発内藤くん背番号11、横田くん背番号15、藤澤くん背番号10
 
誤解を恐れずに言えば、春の県大会を制している隼人にとって4回戦あたりはまだ調整なのであろう。

エースナンバーで関東大会でも好投した左澤くんや主将の北原くん、通産40本塁打を超える小高くんといったメンバーを温存して、尚余りある戦力でのコールド勝ちなのであった。

激戦地神奈川で甲子園を本気で目指すチームというのは、こうした戦いが出来なければならないのかもしれない。

それでも、ちょっとしたことで足元をすくわれるのが野球という競技の恐いところでもある。

何かの縁で戦えた相手であるし、グラウンドマナーもひじょうにしっかりしているチームでもあり、是非甲子園にまで届いてもらいたいと、心の底から願います。

頑張れ、隼人高校!
 
【管理人の個人的事情】
 
毎度のことながら、この時期はいつもテンパっています(汗)

書き足りないこともたくさんありますので、また明日以降書かせてもらいますね。

鶴嶺高校野球部関係者の皆さん、お疲れ様でした。
この夏、管理人はとても楽しませてもらいました。

また、球場その他でお声掛け頂いたたくさんの方、ありがとうございました。
これからも細々と続けてゆく所存ですので、お見捨てなきようお願いします。
 

7/20 鶴嶺3−2秀英 通じた管理人の願い,ゲットした春王者への挑戦権
 
これぞ“ザ・鶴嶺スタイル”の真骨頂と言えよう。

ここまでの3試合でのスコアで再確認すると、鶴嶺は1試合で最大3点しか取っていない。
にも関わらず、相手打線を2点以内に押えての3連勝である。
 
 
この画面はNHK甲子園2012試合速報より
 

この日は初回、先頭バッターに二塁打を許し、そこから1点を失う苦しい展開であったが、2回ウラ、一・三塁から一塁走者が盗塁を試み、キャッチャーからの送球がそれる間に、三塁走者が還った。
(試合経過は全て伝聞ですので、ちょっとした間違いがあるかもしれません。あしからず)

5回には二死三塁から相手バッテリーにパスボールが出て、逆転。

秀英にとってはひじょうに辛い形での失点となったわけだが、それが鶴嶺の鶴嶺たる所以であり、ある意味で最も得意とする形なのである。

8回は関谷くんのタイムリーヒットも出て、3点目を得ると、森野くんが9回、1点を失ったあと、二死満塁というピンチをどうにか凌いで勝利を得た。

終盤には伝統のピックオフプレーで無死一塁のランナーを刺したり、捕手・日向くんが二盗、さらには離塁の大きい二塁ランナーをもけん制で刺すなど、バッテリーを中心とする守りはこれまで以上に機能したようだ。

それでもダメを押したい場面でのスクイズ失敗などもあり、22日に迫った春の神奈川県大会覇者・横浜隼人高校との4回戦には課題もある。

3回勝って、春の王者と当たるというのは最高の巡り合わせだ。
貪欲に立ち向かってもらいたいと切望する。

急に何か特別なことをしようと思っても、それが出来るほど相手も甘くはないし、とにかく鶴嶺らしさを前面に出して戦うほかあるまい。

「守りはよくやれいます。森野にはもっと緩急をつけるよう指示しています。今日は終盤、緩急がなくなって、やや合わせられていたところもありましたし。ただ、相手が隼人であっても、うちはこれまでと同じように戦うしかありませんから。」

とは、亀山監督の弁だ。

負けて失うものがないチームが、無欲でなく、貪欲に戦う時こそ『蟻がゾウを倒す』奇跡は起こり得る。

コンディションを整え、最大限の力を発揮できる準備は怠りなく、ね。

22日、平塚球場に行きますね。
楽しみにしていますよ!

 

7/19 頑張れ!鶴嶺高校
 
18日、鶴嶺・亀山監督と電話で話したところ、ケガが心配された2年生の鈴木日奈太くんはどうやら骨折などはなく、19日の試合では普通にプレーできそうとのこと。

よかった。

というか、むしろこれで彼の力が抜けて、本来のバッティングが見られるのかもしれない。

両村くんと鈴木くんの2年生コンビが活躍することで、勢いをつけられるといいね。
 
鶴嶺高校グラウンドを走る選手たち。ここが君たちの聖地だ
   
亀山監督にプチインタビュー[7/16&18]
 
管理人「秀英戦に向けて、課題や抱負をお願いします。」
亀山監督「昨秋試合をした時には投げなかったピッチャーが光明相模原を押えているのを見て、これは簡単に打てないとは感じています。3回戦に向けては少しでも打撃の精度を上げることと、犠牲バントだけでなく、セーフティも含め、バントで掻きまわせるよう、選手によってはライン際を狙う練習もさせています。あのピッチャーは簡単にフォアボールはくれないでしょうし。」

管理人「守りについては?」
亀山監督「とにかく、これまで通りに、と。向こうもカッチリした野球をしてくるので、似たタイプのようです。何とか同型対決を制したいと思います。そのためには、仮に無死でランナーが出て、送られて、一死二塁の形を作られても、慌てず、そこからしっかり守りたいですね。スクイズを仕掛けられる場面もあるでしょうが、そこも外すことを意識しておきたいと思います。守り勝ちたいですね。」

管理人「投手陣はどうですか?」
亀山監督「ここまではまずまず、というか“普通”に投げられているというレベルです。森野にはもっと緩急をつけるよう指示しています。総力戦なので、勿論、日向が投げる場面もあるかと思います。」

管理人がどれほどこの試合を観に行きたいか...
しかし、19日はどうしても行けませんので、是非勝ち上がって下さい。

ひたすら、鶴嶺高校の健闘を祈ります!

7/18 高校野球・サイドストーリー
 



昨夜、管理人が職場で準備をしているところへ、北陵で4番を務めていた深澤くん(写真上)が登場。

勿論、あの試合の話になったが、後悔しているという風情は全くなく、勝ち進んでいる鶴嶺高校へのエールを送っていた。

鶴嶺のキャプテンである高橋くんは、実は深澤くんの中学時代(鶴が台中学)のチームメートだったのだ。

スポーツにはそうした「地縁」も1つのキーワードとして燦然と存在する。

深澤くんは大学でも野球のできる環境を求めて、これから本格的な受験に立ち向かうことになる。
 
頑張れ!

写真中・下は鶴嶺高校で野球部運営のお手伝いをされている横田一秀さん。

昨年までは宮城県で教鞭を執られていた。
(最初の赴任校は神奈川県の瀬谷高校とのこと)

教員になって以来、37年間(つまり1年間を除き)ずっと野球部の顧問をされていた経験を生かし、臨任講師として赴任した鶴嶺高校でも陰となり日となり部員たちを支えている。

管理人が鶴嶺高校を訪ねた7/16は、バッティングのフォロースルーについて、実演つきで熱心に指導されたほか、練習最後のミーティングでは、とっさの場面での声掛けの重要性、打球が見えていない打者走者に対する注意といった実戦的なアドバイスもされていた。

管理人が鶴嶺高校の野球についてお尋ねしたところ、「守りはもともといいようだから、相手に先に点をやらないようにすることが肝心でしょうね。生徒たちはとても素直で、やっていて楽しいですよ」と応えて下さった。

高校野球の周囲には、こうしたエピソードが数限りなく転がっている。

 
せめて、縁あって見聞きしたものは紹介しておこうと思った次第です。

さあ、明日はいよいよ3回戦。
鶴嶺がここを突破すると、平成12年に5回戦まで勝ち進んで以来の快挙だ。

らしさを出して頑張って欲しい。
 

7/16 北陵新チームへ&鶴嶺3回戦へ向けて
 
北陵新チーム稼働開始
 
  
左)ノック 中)新キャプテン・飯田くん 右)エース・池田くん
 
7/16は海の日。
管理人はかねてからの約束で、コンクールの近い北陵高校吹奏楽部を訪問することになっていた。

で、吹奏楽の取材が終わって、もし野球部が練習していたら、過日の湘南工大戦についてお話を伺おうと思っていた。

ご存じの方も多いかと思うが、北陵高校は敷地に遺跡が埋まっているらしく、その関係で野球部は旧校舎隣接のグクラウンドで、吹奏楽部はそこからやや下った仮の新校舎でそれぞれ練習している。

新校舎での取材が終わり、グラウンドの方に向かうと、バックネット裏に松島監督が陣取り、新チームの練習を見ていた。

13日に破れ、その翌日から既に稼働しているとのこと。

ちなみに新キャプテンは飯田悠斗くん。
2年生にして、先の湘南工大戦でもトップバッターの重責を担っていた。

練習ではその飯田くんと池田くんがノッカーを務め、その他の選手は走り回ってそのボールを追いかけていた。

松島監督曰く、ノックはひじょうにいい打撃練習になるとのこと。

今はそれぞれの選手のポジション特性を見極めている時期で、ピッチャーは4〜5名の布陣を考えている。
池田くん一人に大きな負担は掛けられない、という配慮もあるだろうし、実際現代の高校野球では一人のピッチャーで勝ち上がれる状況にはない。

8月22日から始まる秋季大会を目指し、8月3日からは練習試合も組んであるそうな。

新チームも応援させてもらいますね。
 
鶴嶺、3回戦に向けて
 
練習の締め括りに全員で校歌を大声で歌うの図
 
かたや鶴嶺は2回勝って、19日には横浜球場での3回戦(対秀英戦)が控えている。

この日の練習は専ら「打つ」ことと「バント」に力点が置かれていた。

何しろ2回勝ってはきたが、得点はそれぞれ3点と2点であり、森野くん・日向くんという好投手を中心とするディフェンスがどれほど機能しても、ここから先、簡単には勝ち進めない。

勿論、1日・2日練習したからといって、いきなり打撃に開眼するということもないだろうが、小さなことを積み上げて、少しでも確率を上げておくというのはひじょうに重要な準備である。

また、鶴嶺野球の代名詞的存在のバントも入念に行われていた。
当然、次戦も1点勝負という可能性があるからだ。

心配は、そのバント練習中に2年の主軸・鈴木日奈太くんが左手中指を裂傷したことだ。
無事だとよいが...
 
  
  
 
◇マネさんにプチインタビュー◇
 


本日は初めて1年生マネの今野みづきさん(左)に話を聞く機会があった。

友達に誘われて見学に来て、楽しそうだったので自分の方が入ってしまったとのこと。

浜須賀中学では剣道部。
ようやく野球のルールもわかりはじめ、先輩マネについて、スコアも少しずつ書けるようになってきたとのこと。

来年・再来年とお会い出来ると嬉しいです。


2回戦、ベンチ入りしたのは松原陽(まつばらみなみ)マネ(下写真左)。

大会前は日向くんに期待するとのコメントをもらっていたが、今は2年生の鈴木日奈太くんが気掛かりとのこと。

曰く「変に力んでいる。いつも通りにやれば、絶対に結果はついてくる」

うん、そだね。
ケガが大丈夫か心配だね。

3回戦ベンチ入り予定の時村茜マネ(下写真中)は

「スタンドで声を枯らして応援するのも大好きです。応援、楽しいです。」

とのこと。

管理人「3回戦、どう戦って欲しい?」
時村マネ 「2回戦は1回戦ほど、絶対に勝つという気迫が薄かったように感じたので、絶対に気迫で負けないようにしたいです。秀英はけして勝てない相手ではないので、とにかく気迫負けだけはしないように。」
管理人「3回戦で期待する選手は?」
時村マネ「日向ですね。もっと打てると思います。あと、2年の両村。1回戦はよかったんですが、2回戦はちょっと打てなかったので。それは3回戦で打つ、ということなのかと期待しています(笑)」

みんなに頑張って欲しいね。
何とかもう1回勝って、管理人に4回戦の応援に行かせて下さい...
 
◇キャプテンにプチインタビュー◇
 
管理人は、どうしても高橋雅樹主将に訊いておきたいことがあった。

それは1回戦3回のオモテ、先頭の森野くんがヒットで出塁し、彼が送りバントを2度失敗したあとの3球目のシーンだ。

管理人「あの時はどういう気持ちだったの?」
高橋くん「正直言うと、あのスリーバントは決められないんじゃないかと思っていました。」

管理人「その緊張感はこちらにも伝わってきたよ。で、あのスリーバントも、一旦ファールゾーンへ出たのが戻ってきたようにも見えたんだけど、実際はどうだったのかな?」
高橋くん「外角のボールだったので、最初のバウンドはファールゾーンだったんですが、そこからフェアゾーンに転がりました。」

管理人「あれで少しはほっとした?」
高橋くん「はい。4回の逆転の場面でも、力まずにあとに繋げていこうという気持ちになれて、結果としてよかったと思います。」

管理人「3回戦に向けての課題・抱負をお願いします。」
高橋くん「今のところ、守りでのミスはほとんどないので、その勢いは大切にしたいです。ただ、打ててないので、それぞれのバッターがその場面・場面での自分の役割を意識して、それを果たすように心掛けたいです。」

ありがとうございました。
貪欲に勝ちにいって下さい。
 
【管理人の個人的事情】
 
もう少し書きたいことがあるのですが、絶望的に眠いので、また明日以降とさせて頂きます。
鶴嶺の皆さん、まだこれから試合が出来るという喜びを感じて、残る時間を大切に過ごして下さい。

ほんと、4回戦は管理人の大好きな平塚球場なので、応援に行かせてね。

7/15 鶴嶺2−1三浦臨海 薄氷の勝利に冷や汗
 
上のスコアは7/15(日)に行われた2回戦「鶴嶺対三浦臨海」のものである。
(「NHK甲子園2012試合速報」より)

正直に言うと、もう少し楽な展開で勝てるのでは?と予想していた。

何しろ三浦臨海高校は昨年の夏、さらには今年の春の大会に部員不足で出場すら叶わなかった学校だ。
この夏の大会のプログラムを見ても、部員は1年生5名を入れて、計12名しかいない。

だから弱い、と決まっているわけではないが、客観的に考えると、昨夏5回戦まで進んでいた相模原総合に競り勝った鶴嶺が有利と見るのが妥当であったはずだ。

しかし、野球という競技はバッテリーさえしっかりしていれば、簡単に失点しないという性質を持っている。

まさしくそれを絵に描いたような試合だったのである。
(管理人はこの試合を見ていません。インターネットのデータと亀山監督への電話インタビューから構成していますので、ご了承を)

亀山監督はこの試合、森野くん・日向くんの二本柱でなく、経験を積ませる意味で、控えの神保くん・鎌田くんの先発も頭をよぎったそうだが、最終的には慎重に日向くんを選択した。
(キャッチャーは中野くん)

臨海の投手・宮入くんはエース・主将・4番打者というスーパースター。
おそらく、この大会に懸ける気持ちはひとしおであったはずだ。

鶴嶺は2回、犠牲フライで先制するも、その後得点できず。
ちょっとイライラする展開の中、7回押し出しで追いつかれてしまう。

両チーム、そろそろ延長戦のことも考えなければならない8回、鶴嶺のキーマン・高橋主将が先頭打者でヒット。
仕事人・両村くんが確実に送り、3番柳本くんのファーストファールフライの間に高橋くんがタッチアップで二死三塁。

これが効いて、4番日向くんが一二塁間を抜くタイムリーヒット。

最終回のマウンドには静かなるサブマリン・森野くんが立ち、粘る臨海を押えた。

亀山監督は「勝った気がしない」と語るが、この薄氷の勝利は次戦への戒めであり、ある意味で大勝するより価値のあるゲームであったと言えよう。

そして、その3回戦の相手であるが、大方の予想を裏切って、2回戦で光明相模原を破って勝ち上がってきた秀英高校である。

鶴嶺は秀英とは毎年のように練習試合をする間柄で、昨秋も試合をして、鶴嶺が勝利を収めた。
但し、亀山監督はこのチームは例年よりしっかりしているな、と感じたそうである。

鶴嶺−三浦臨海戦のあと、引き続き大和引地台球場(詳しくは「こちら」)で行われた光明相模原−秀英戦も観戦し、秀英のエースはひじょうにいい、と警戒感を抱いたとのこと。

亀山監督に次戦のポイントを訊いてみた。

「とりあえず、1・2回戦で守備から破綻することがなかったのは好材料です。問題はウチが得点できるかどうか、ということでしょうね。そういう意味では高橋・両村・柳本・日向の上位がどれほど活躍してくれるか、が鍵になりそうです。先発は森野で行こうかと考えています。」

特にあまり当たりの出ていない柳本くんに期待しているようだ。

3回戦の秀英戦は19日13:30横浜スタジアムにて。

そして、すごく悲しいことに、管理人は夏期講習なるイベントのため、試合会場に行けません...。

4回戦(気が早いけど)なら22日(日)平塚球場第一試合なので、行けると思うんすが...。

観戦に行けない分、明日(16日)は学校にお伺いさせてもらいますね。
よろしくお願いします。
 
鶴嶺高校・安藤コーチに訊きました
 
彼の名は安藤弘(あんどうひろし)。

昨年までの早田コーチより先輩の25歳。

2005年夏、鶴嶺のエースだった男である。
[当時の写真などはこちら

そして今は硬式野球クラブチーム「サザンカイツ」で投手をやりつつ、高校野球の監督となるべく通信教育で勉強中。

インタビューは1回戦の対相模原総合戦のあとに行ったものです。

管理人「今日の試合はコーチから見ていてどうでしたか?」
安藤コーチ「力が出せた試合だったと思います。しっかりと試合への入り方を意識してきましたが、それをやれたと思います。今年はどうしても1勝したかったですから、まずはよかったです。」

管理人「戦術的にはこの試合ならではのものが何かありましたか?」
安藤コーチ「一死からの送りとスリーバントは、これまでの練習試合よりも多めではありましたね。」

管理人「コーチとして意識していることは何ですか?」
安藤コーチ「率先して声を出すことを大切にしています。あと、選手が自分ではなかなか気づかないところを注意したり、雰囲気を盛り上げるといったことですね。」
 
管理人「次戦以降のことについてお聞かせ下さい。」
安藤コーチ「実は初戦のことで頭がいっぱいで、そのあとのことはあまり考えていませんでした(苦笑)。ただ、打撃のいいチームだと、日向のボールがタイミング的に合ってしまうこともあるので、ピッチャーをどうするかは、相手次第ということになるかと思います。」

管理人「ありがとうございました。」

で、別れ際、安藤コーチがこっそり管理人に話し掛けてくれた。

安藤コーチ「実は僕が3年生の時、(部活ネットが)一度も大会の試合を見に来てくれなくて、ちょっと寂しかったんです。今日のは書いてくれますよね?」

管理人「...そうだったか...。そりゃ申し訳なかったです。今日のは必ず書くから、次戦以降も是非頑張ってね(汗)」

管理人はもしかしたら、安藤少年をがっかりさせてしまっていたのかもしれません。

これからは永いお付き合いをよろしくね。
 

7/14 北陵0−4湘南工大 もっとやらせてあげたかった
 
[注:試合は7/13に行われました]
 
最後まで見られてよかった
 
実は最初からちょっとだけ心配だったのが、試合を最後まで見届けられるか、ということであった。

この日、管理人は茅ヶ崎駅北口徒歩4分に位置する栄進予備校で5時から高3対象の授業をやることになっており、試合会場である藤沢八部球場に居られる限界は4時半と決めていた。
(これもかなりリスキーな時間だけど)

試合開始予定時刻が13:30だったが、第二試合の悲しさで、これが予定通りに始まるかどうかは、第一試合の流れによる。

その第一試合はシード校である平塚学園に対して横浜清陵が善戦し、終盤までもつれる展開となり、試合終了が13:25頃。
北陵−湘南工大の試合開始は14:05と発表され、これはまず時間の心配をしなければならなくなった。

しかし、試合は14:00ちょうどに始まり(この5分は管理人を大いに励ましてくれた)、下のスコアボードを見てもらえればわかるが、16:20に終了した。

少なくとも試合を最後まで見ることが出来たのは幸いだった。
 
 
初回攻防のアヤ
 
試合前、球場の外でアップをしているキャプテンの青柳くんに遭遇して、ちょっと話をさせてもらった。

「調子は上向きです。今日は池田でいきます!」と元気よく答えてくれた。

エースの池田くんは、春季大会以降は故障もあったため、9回を投げ切るという経験がなかったが、ここに来てコンディション調整がうまくいったようで、ひとまずよかった。

しかし、打線の援護があってこそ、はじめて勝利を掴むことが出来るのだ。
とにかく、早いイニングで一度は相手投手をつかまえたいところだ。

そして試合は始まった。

先攻の湘工大はトップバッターの成田くんがいきなりレフト前へのヒットで出塁。
続く2番が一塁線へ送りバント。

このバントはけして悪いものではなかったが、池田くんは素早くボールを掴むや、打者走者にタッチ。
振り向きざま、二塁へ進んだ走者をチラ見。

このプレーを見るだけで、彼に内在するポテンシャルを知ることができる。

しかし、三番の大島くんに左中間を破られる二塁打を打たれ、早々に1点を与えることになってしまった。

管理人メモには「1点取られたが、こういう取られ方なら、北陵らしくて傷は浅いかも」と書かれている。

ところが、この試合は今、名前を表記した成田くんと大島くんによって支配されてゆくのであった。

池田くんは4番を三振に取り、続く5番をショートゴロに押え、最少失点で切り抜けた。
彼は力のある球で三振も取れるのが強みである。

1回ウラ、1・2番の飯田くんと秋山くんが押えられるも、3番池田くんは打撃でもそのセンスを見せ、ファールで粘った後、ついにセンター前に弾き返した。

先制されたあとの攻撃を淡白に3人で終わらせると相手を乗らせる、という点からも、このヒットは大きかったが、管理人は次打者の深澤くんの打席を大きな思い入れを持って見つめていた。

勿論、彼は北陵の4番バッターであり、その打棒に期待するということもあるが、管理人は彼のことを中学時代から今に至るまで、ずっと生徒として教えてきたという歴史があり、ここで打って欲しいという気持ちに溢れていた。

快音を残した打球が左中間方向に上がるのを見て、管理人の願いは叶ったかに思えた。

ところが、数秒後、信じ難い光景が目に入る。

湘工大のレフトがフェンス際いっぱいのところで、そのボールをスライディングキャッチ。
盛り上がる湘工大応援席。

管理人は湘工大側のスタンドにいたから、それがよくわかった。

...そして、この1回の攻防の図式は、最後まで崩れることがなかったのだ。
 
 
  
  
  
  
左上から順にピッチャー池田くん、キャッチャー青柳くん、ファースト柿澤くん、セカンド深澤くん、サード田中くん、ショート坪田くん、レフト飯田くん、センター石原慶くん、ライト秋山くんの先発メンバーと、下段は左から井口サードコーチ(のちに代打出場)、途中出場のキャッチャー篠木くん、ファーストコーチの増田くん
  
左)シートノックの馬場部長 中)試合前の確認をする松島監督 右)戦況を見つめる馬場部長と住友マネ
 
始まりそうで始まらなかった北陵劇場
 

ご存知のように、北陵は守って勝つというチームではない。
それゆえ、時として守りから崩れるケースも見てきた。

しかし、この試合、強風にも関わらず、そうした破綻は見られず、チーム全体の成熟を感じさせた。
そして、エース池田くんも復帰、何とか凌いでいた。

だからこそ、早いイニングでノーアウトからの走者を、どんな形でもいいから出したかった。

それをさせなかった湘工大の先発・大島くんが素晴らしかったと言うべきだろう。

彼はピッチングだけでなく、打つ方でも2本のタイムリーツーベースで3打点であり、ひじょうに乗っていた。

7回を除いて、確実に先頭打者を打ち取り、勝利を手繰り寄せていった。
何しろ、試合終了までに彼が打たれたヒット5本は全て二死からであった。

北陵劇場は始まりそうで始まらないまま、であった。

野球に限らないが、勝負事というのは、「勝つための方法論」をどれだけ積み重ねるか、ということに誰もが腐心するものである。
この日の両者の対戦では、それが北陵よりも湘工大がまさっていたということだろうか。

勝ち上がった湘工大の今後の健闘を祈ろう。

北陵野球部関係者の皆さん、お疲れ様でした。
試合後、猛スピードで仕事に向かったため、誰の話も聞くことが出来ず、申し訳ありませんでした。

落ち着いたら、また学校を訪ねさせてもらいますね。

3年生諸君。
思い切り泣いて、少ししたら、顔を上げて、前に進んでいって下さい。

どこかでまた会えるといいね。

 
 

とにかく、すごい風。応援団の旗手はたいへんだったことかと。お疲れ様
  
北陵の応援はいつもことながら爽やかで好印象であった
試合終了直後、相手チームの校歌を聞く北陵。この時の気持ちはいかばかりか...
湘工大も地元なので大応援団が駆けつけた。次戦も頑張ってください
  
左)完封勝利の大島くん 中)トップバッターで素晴らしいお膳立てをした成田三塁手 右)お客さん。平日の昼間、しかも雨も降りしきる中、これだけ観客が入るというのはある意味ですごいと毎年思います
 
本日(7/14)も慌ただしいので、とりあえずここまでとさせて頂きます。
また明日以降も書いてゆきますので、お見捨てなく...
 

7/12 鶴嶺3−1相模原総合 4年ぶりの勝利にキャプテン号泣
 
 

試合決行で助かりました
 
天気予報はある意味で当たり、ある意味では外れた。

雨は降った。
薬大スタジアムの観客席は全く屋根がないので、写真のように、椅子は濡れ放題。
そのまま座るとパンツの中まで貫通する。
 
  
 
しかし、試合は決行された。
雨に打たれながらの観戦だったとしても、管理人にとっては幸いであった。

とにかく、日程がズレると仕事の調整は極めて難しいものとなる。
この試合が明日に延期されれば、おそらく観戦することはムリであったろう。

何しろ、同じ神奈川県でも、伊勢原球場の2試合は中止になっていたのだ。
いやぁ、本当に助かった。
 
  
左)入口の看板 中)試合前の確認 右)シートノック
 
 
 
  
管理人が確認できたものだけでも、鶴嶺のバントはスクイズを含めて8回あった

徹することで壁を打ち破る
 
管理人は写真撮影しつつ、試合の動向を探り、簡易なスコアをつけつつ、その時々の思いつきを取材メモ(実際には単なるB5用紙をバインドしたもの)に書きつけるというスタイルでこの10年間やっている。

恐ろしいまでの家内制手工業である。

しかも、本日は雨に加え、強い風が方向を変えながら吹き続けていた。
管理人は昨日イトーヨーカドーでこっそり購入した折りたたみ傘を差しつつ、必死の執筆作業をしていた。

雨に濡れ、ごわごわになったB5用紙を振り返ると、「ゲームの流れ」についての記述と鶴嶺のバントについての記述が多いことに気づく。

下の最終スコアを見てもらえればわかることだが、両チームとも8安打・2エラーは全く同じ。
試合を決したものは何であったのか。

管理人が思うに、勝因は大別して3つあったかと。

(1)バント戦術の徹底

かねてより、亀山監督は「打てない。だから、バントで確実にランナーを押し進める」と語っていた。

この試合、それは徹底的に遂行されたと言えよう。

得点にこそ繋がらなかったが、1回・2回、一死から出たランナーを柳本くん・小柏くんがバントで送った。
2つのバントは「自分も生きる」ということは端から捨てた、まさしく「犠牲バント」であり、ひじょうに丁寧に実行された。

仮に相手の相模原総合がこの「部活ネット」の高校野球雑記に目を通して、鶴嶺はバントで仕掛けてくるということを脳内に擦り込んでいたとしても、実際に初回からコツコツと仕事をされると、これがボディブローのように効いてくるはずだ。
(たぶん、「部活ネット」の存在を知らないと思うけど)

そして3回、それは結実する。

正直言って、打撃ではほとんど期待できない(失礼!)と思っていた、この回先頭の森野くんがライト前にポトリと落ちるヒットを放ち、トップバッターのキャプテン・高橋くんに打順が回った。

しかし、この高橋くんの動きが硬いように思われた。
2回ウラ、ショートゴロを捌いたあとの一塁への送球が逸れて、セーフに。

これは失点には至らず、事なきを得たが、勝負のカギを握るキャプテンから破綻することは、即ち鶴嶺の負けを意味するのだ。

少なくとも彼が入学してからの2年間、彼は中心選手としてゲームに出ながら、夏は勝てないまま最終学年を迎え、今年はキャプテンという重責を担っている。

誰よりも背負うものが大きく、プレッシャーも相当なものだと推測される。
だから、硬くなるなと言う方が無理であろう。
しかし、彼にそれを乗り越えてもらわねば、鶴嶺に勝利はないのだと管理人は考えていた。

そういう流れを経て、彼は打席に入った。

彼にとって、つまりは鶴嶺にとってよくない流れが寄って来ているかのようなバント失敗が2つ続く。

管理人の取材メモには「ここが序盤のヤマ」と書かれている。

亀山監督がここで戦術変更をしていたら、この試合の勝者は変わっていたかもしれない。
徹することの大切さが、高橋くんに力を与えた。

彼のこの打席三度目のバントは、一塁側の相模原総合応援席に近い場所にいた管理人からは一旦ファールゾーンへボールが出たように見えたが、そのボールがフェアゾーンに戻ってきたのだ。

気迫のスリーバント。

それをやるしかないと腹を括った監督と主将の念が、ボールを引き戻したとしか思えない光景であった。

管理人はこれで鶴嶺に流れが来るのではないかと思った。
(取材メモによる)

次打者・両村くんの時に、相手バッテリーにミス(パスボール)が出て、一死三塁に。
すかさず、センター前に弾き返すヒットで鶴嶺が先制した。

これも1・2回の布石、さらにはキャプテンの気迫の送りバントに加え、両村くんがバントの構えで相手バッテリーをけん制したことによって、ちょっとした綻びが生じたのだ。

管理人はこれで鶴嶺にビッグウェーブが来る可能性を感じたのだが...。

このあと、柳本くんが送って二死二塁(一死からの送りバントは3度目)、さらに日向くんと鈴木くんが連続四球で、満塁に。

ここで1点取っておけば、絶対的優位に立てるところだったが、無得点に押えられ、流れはまたわからなくなった。

相模原総合高校も必死なのだ。
   
  
(左)得点シーン (中)ピンチで集まる内野陣。伝令の背番号13関根くんのベンチからマウンドへのダッシュは噂通り猛烈なスピードでした 右)イニング間のボール回しが終わった後の雄叫び
 
(2)静かなるサブマリン“蒼き力投” 

3回ウラ、肝を冷やす場面が。

ヒット・四球・ヒットで無死満塁。
せっかくオモテで先制したのだが、二死満塁を押えられた反動か。

しかし、こうしたピンチにも森野くんは動じない(ように見えた)。

とにかく持ち味である「打たせて取る」を実践し続ける。
その姿は“静かなるサブマリン”とでも呼びたくなるような佇まいである。

そしてこの場面でも、強振する相手バッターを引っ掛けさせ、セカンドゴロに。
落ち着いて捌けば、ホームゲッツーかと思われたこの打球を、池田くんがまさかのファンブルでオールセーフ。

1対1に追いつかれてしまった。

森野くんがゴロを打たせるタイプのピッチャーだけに、内野陣のイージーエラーだけは避けたいところだが、池田くんもホームで刺さなければ、という気持ちの焦りもあったろうし、目の前を走って来る一塁走者が目にも入ったのだろう。
この時の池田くんの気持ちは、察して余りあるものだ。

ここで一気に大量点を奪われると、ゲームの趨勢も決まりかねないほどの場面である。

しかし、この日の森野くんはピッチングだけでなく、フィールディングでも冴えていた。

続くバッターをピッチャーゴロでホームゲッツー、さらには次打者もセンターフライに打ち取り、絶体絶命のピンチを最少得点で凌いだ。
森野くんのピッチングから蒼白い炎が揺らいで見えるような印象であった。

結果的に、この回の終わり方こそが鶴嶺を勝者たらしめたのだった。
 
  
  
  
左上から順に、ピッチャー森野くん、キャッチャー日向くん、ファースト関谷くん、セカンド池田くん、サード柳本くん、ショート高橋くん、レフト鈴木クン、センター両村くん、ライト小柏くん。鶴嶺はこの先発メンバーを最後まで代えることなく試合を終えた
 
(3)キャプテン完全解放
 
4回オモテ、先頭の小柏くんが打ち取られたあと、先程エラーの池田くんがバッターボックスに。

管理人は胸が痛くなるような気持ちで、彼が何とか出塁してくれまいかと願っていた。

...願いは通じた。
ストレートのフォアボールで、さらに次打者の森野くんがこの試合4度目となる一死からの送りバント。

これは最早亀山監督の執念と言えよう。

ここまで送りバントは全て成功しているのだから、単に戦術として採り入れているということでなく、緊迫した場面で決められるだけの練習もしてきたわけだろうし、精神的に部員たちがそれを成し遂げられるだけの環境を準備してきた、と言うのが妥当であろう。

6月に取材に伺った際も「ラインぎりぎりにしなくてもいい。ボールを少し殺してさえくれれば、野手の正面に転がっても、簡単に二塁で封殺はできないもの。それでアウトになったら相手が上手なんだと考える」と語っていたのが印象に残っている。

それが周知徹底された結果、プレッシャーが掛かる場面でもバントが決まるのだ。

過日も書いたことだが、このバント戦術は本当に「古くて新しい」と実感する。

さて、ここで打席に入るのは、まだ硬さから完全に抜け出していない主将の高橋くんだ。
ある意味、願ってもない場面だと言えよう。

二死二塁で、もうここは打つしかないわけだ。

そして彼が放った打球はライト線ぎりぎりに入る三塁打となり、再びリードした。
ホームに駆け込んだ池田くんも嬉しかったろう。

この1点は、1点入ったという事実だけでなく、キーマン高橋くんの復活という意味で、また、傷ついたセカンドの気持ちを癒すという意味で、より大きな1点になった。

これで彼は今まで自らを縛っていたものから解放されたのではなかろうか。

さらに、両村くんがライト前ヒットで続き、3点目が入る。
今日の両村くんはこの2打席連続タイムリーを含む猛打賞に加え、センターの守備でもファインプレーを見せるなど、絶好調。

2年生の彼がのびのびやれるようだと、ここから先も楽しみが持てる。
 
  
 
 
その後、流れの掴み合いとなった。

しかし、得点にこそ繋がらなかったが、5回にもスリーバントを成功させ(小柏くん)、7回には失敗だったものの、鶴嶺にとって最大の積極策であるスリーバントスクイズ(関谷くん)にもチャレンジするなど、鶴嶺やや優位で進んだ。

一方、見方を変えてみると、これだけいやらしいこともされてはいるが、その後得点を与えない相模原総合の粘りも本当に大したものだった。

9回オモテなどは死球・ヒット・バントを絡めた一死満塁のピンチをセカンドゴロゲッツーに仕留め、鶴嶺応援席の



という溜息を誘っている。

9回ウラ、先頭打者がヒットで出塁し、二死三塁にまでなったが、最終打者の痛烈な打球は、今日のゲームを象徴するかの如く、高橋主将のグローブに収まるショートライナーであった。

3対1。

鶴嶺にとって誇るべきロースコアの展開による、4年ぶりの勝利となった。

高橋くんは試合後、人目も憚らず大泣きしていた。
それは彼が過酷なプレッシャーから解放されたことの証である。

本当によく頑張ったね。

鶴嶺高校野球部関係者の皆さん、おめでとうございました。
さらに二回戦・三回戦も力を発揮して戦って下さいね。


さて、明日(13日)は北陵が藤沢八部球場で湘南工科大高校と戦うことになっている。
(雨、大丈夫っすか?)

相手は一度勝っているので、受けるような戦い方になると苦戦も予想される。
北陵の健闘を祈りたい。

明日以降、鶴嶺の亀山監督・安藤コーチの談話もちょっくら掲載する予定です。
ちょっと今日は体力がもちません...
 
  

7/10 管理人の不安
 
管理人は不安である。

何が不安であるかというと、天気予報が当たってしまうんではないかということに尽きる。
表現者として当たり前の心理だが、取材してきた部活の晴れ舞台を見たくないわけがない。

ところが、先程恐る恐るインターネットで天気予報を見ると、上のような、ある意味で管理人に対するいじめとも受け取れるものであった。

賢明な読者の皆さんはおわかりかと思うが、12日は鶴嶺高校の、13日は北陵高校の初戦であり、管理人は神奈川大会の組合せが決まった瞬間から、この2日間をなるべく体が空けられるように画策していた。

そりゃ、全国的に梅雨であり、天気をコントロールすることは出来ないわけだが、よりによってこの2日だけが雨マークなのだ。

今までカラ梅雨だったくせに...

管理人は相手のいる仕事(一応、予備校の先生です)をしているので、雨天順延はなかなか厳しいものがある。

特に12日に予定される鶴嶺−相模原総合の試合が13日に延期されると、会場が薬大スタジアム、午後1時半開始ということもあって、5時から始まる授業に間に合わなくなることはほぼ確実。
さすがに「自習しておいてね」というわけにもいかず...

困り果てています。

試合が出来ることを皆さんで祈っていて下さい。

7/9 鶴嶺野球の真髄を
 
 
 


上)日向くん 下)森野くんの二本柱
長年、鶴嶺高校の野球を見ているが、この10年で監督を務めた先生は5人(菊地原・加藤・小松・山口・亀山 敬称略)いるにも関わらず、その基本的カラーはほぼ不変である。

それは一見堅く、見ている者に何をするかわからないといったスリルを滅多に感じさせない野球である。

投手を中心とするディフェンスは可能な限り破綻なく、自ら勝手に転ぶことなく、相手にプレッシャーを掛ける。
(ランナーが一塁または二塁にいる時に見せる、ファースト・サードが前進し、セカンド・ショートがベースをカバーする伝統的なピックオフプレーは健在のようだし)

そして、打撃では少ないラナンーをバントを駆使してスコアリングポジションに進め、あとの打者に託す。

自らを殺し、他者を活かすという戦術は古くて新しい。

バントでランナーを進めること自体、それほど易しい作業ではないが、それをあっさり決め、確実に一死二塁、或いは一死三塁といった形を作られる側は、最初は耐えられても、いつか耐え切れず、綻びを生じさせるものだ。

かつて、鶴嶺高校のこの野球を見せてもらって、これは人生に通じる“何か”があると感じたものだ。

今年も(失礼!)大型選手や140キロを出せる投手に恵まれることなく、それでも知恵と技術と根性を振り絞って戦う姿が見たい。

さて、上のスコアボードを見てもらいたい。

これは、管理人が観戦させてもらった対城山高校戦(6月24日)のものだ。

なぜこの試合を観させてもらったのかと言えば、事前に亀山監督から「24日に戦う城山高校は、春季大会地区予選でウチがこの夏最初に戦う相手(相模原総合)とやって負けています。だから、ウチがここに負けることは許されないわけです。」と聞かせてもらっていたからだ。

しかし、先行の城山が内野安打、牽制ボークで無死二塁。
二番バッターは一塁側への送りバントを決め、続く三番は初球いきなり一塁側へスクイズ。

タイミング的には微妙と思えたが、先発の日向くんは無理せずバッターランナーを刺した。

これで1点先制された。
どうする、鶴嶺?

昨夏、灼熱の小田原球場で行われた対瀬谷西高校戦。 鶴嶺は惜しくも敗れた...
 
管理人はこの段階で昨夏、小田原球場で行われた初戦の瀬谷西戦を思い出していた。

実に暑い一日で、今スコアボードの上の旗を見ても、全く動いていないのがわかる。

この試合、初回にちょっとしたミスも出て先行され、そのウラの攻撃でも得点機を逸したため、終始受けに回ることになり、好投手・松田くんを擁しながら、最後は1点差の惜敗となってしまったのだ。

展開的に目の前の城山戦が、昨夏のこの試合と重なって見えたのだ。
(つまり、ちょっと心配になったってことだよ)

 
1回ウラ 、先頭の高橋主将はファールで粘ってフォアボールを選んだ。
管理人は彼こそが鶴嶺野球真髄の体現者であると思っているが、まさに“気合いのフォアボール”であった。

この形が初回に出るかどうかで、戦い方も変わる可能性があるし、得点出来ないまでも相手にプレッシャーを掛けておきたい。

この場面では二番・両村くんが三塁線にきっちりと送りバントを決めた。
仕事しました、という感じが頼もしい。

ここまでお膳立てすれば、あとは何とかするのがクリーンアップの務めだ。

三番・柳本くんがデッドボールでチャンスを広げるも、2年生四番・鈴木くんは浅いレフトフライでランナー動けず。
五番は先発の日向くん。

打ちました。
強烈な当たりはセンターオーバーのエンタイトルツーベース。

エンタイトルなので、一塁走者は還ってこられないが、これで流れは鶴嶺だ。

この攻撃を積み重ねてゆくことこそが、勝利へと結びつく。

そして、3回ウラ。
先頭の高橋くんがまたしても粘りのフォアボールを獲得。
相手バッテリーは高橋君に対して相当嫌な印象を持ったはず。
ゲーム序盤にこうした根回しをしておくと、のちのちの展開が有利に働く。

当『高校野球雑記』で何度も書いてきた「雨だれ野球」の真骨頂だ。

この貴重なランナーを二番・両村くんがまたしても軽やかに(管理人にはそう見える、という意味です)三塁線に犠牲バント。

考えてみるに、“高橋出塁&両村送り ”がゲーム中に決まれば、そのあとを打つ柳本くんの打棒に大きな期待が掛かる。
クリーンヒットでなくても、相手をさらに苦しめる嫌らしい狙いは常に持ってバッターボックスに立って欲しい。

この打席、彼はサードゴロながら、ランナーを進めた。

これが意図した打撃だったかどうかは確認していないが、ランナーが三塁まで進めばエラーでもボークでもワイルドピッチでも1点入るので、バッテリーが受ける圧力は凄まじいものとなる。

鶴嶺としては、徹底してこのスタイルで押してゆきたい。

四番・鈴木くんのポテンヒットが出て、高橋くんがホームに還ってきたのは偶然ではないのだ。

初回・3回の鶴嶺の攻撃は本当に「らしさ」が出ていた。
本番を3週間後に控え、よいゲームが出来たと言えよう。

また、日向くん・森野くんの継投も決まり、最少失点に押えきった。

さあ、12日に迫った相模原総合との初戦。
この日の試合のように、相手バッテリー・守備陣に小さな穴を開け、それを繰り返すうちに、破綻を引き起こすことが出来れば、自ずと結果もついてくることだろう。

頑張れ、鶴嶺高校!
 

  
左から高橋くん、柳本くん、中野くん。彼らは昨夏からの中心メンバー。活躍が期待される(写真は瀬谷西高校戦より)

7/8 母校の土を抱いて戦って欲しい
 

日頃、何気なく練習しているグラウンド。

そこは、時に最も行きたくない場所であったり、時には心の拠り所であったりする。

辛い練習が控えている日の授業中は「放課後にならないで欲しい」と願い、部活の時間が迫ると決死の覚悟で部室に行くのだが、その足取りの重かったこと。
(ちなみに、今や誰も信じないが、管理人は高校時代、陸上部のキャプテンだった)

ところが、あくまで管理人の個人的感覚であるが、引退秒読み段階に入ると、なぜか急に自分を育んでくれた聖なる場所に思えてきたものだ。

似たような気持ちになったことのある人もいることだろう。

管理人は、今まさにそうした気持ちになっている高校3年生たちと、それを指導されている大人たちにエールを送りたいと思う。

終りある物語のファイナルピース。
それを100%満足のゆくものに出来る者は稀有であり、何か引っ掛かりを抱えて、それでも自らを説き伏せて、「終わり」を受け入れるのだ。

正直言って10年も続けられるとは思わなかった、この『部活ネット』ではあるが、ひとまずの節目として新たな気持ちで彼らのパフォーマンスを見せてもらおうと願う。

今日(7月8日)から神奈川大会も始まった。
試合が行われるということは、即ち敗者を生み出してゆくということ。
そこには大小はさておき、必ずファイナルピースを埋めようとする3年生たちがいて、その行為は彼らを大人にしてゆく。

...実は、どこが代表になるか、ということに以前ほど関心がなくなった。
それはたぶん、甲子園を至上の目標とする野球ばかりが高校野球ではないことを、ようやく体が覚えてきたということかもしれない。

そう。君の聖地はそこにある、母校のグラウンドだ。

涙と汗の浸みこんだ母校の土こそ、戦いの場へ持って行くがよい。