◇巨人の星:原作・梶原一騎 漫画・川崎のぼる <ジャンル:野球>
 勿論、私は全巻持っている。でも、主人公・星飛雄馬は変化球が投げられないのに、どうやって魔送球(ネーミングも凄い!)を投げられるのだろう、とご幼少の頃から漠然と疑問は持っていた。
 トップページの絵を思わずクリックした人の中で“大リーグボール養成ギブス”を作った経験のある者は正直に申し出るように。



 .....それは私です。



「松坂世代の元野球部員さん」より以下の質問メールが届きました

 「新」巨人の星で、右投手になった後、星投手はバリバリ変化球を投げております。誰かに教わったと言及されてはいないので、おそらくもともと投げれたのではないでしょうか?

 ただ、大リーグボールを考案する前に、あの大投手金田に「カーブでもドロップでも…」なんて台詞が出てくるので、プロ入り直後は投げれなかったとは思いますが…。

<回答>
 いかんいかん。「新・巨人の星」は既に「巨人の星」ではありません。

 私がこれまでにどれだけ「新○○」や「続△△」に騙されたことか。面白かったのは「1・2の三四郎・2 」くらいのものだ。

 いやぁ、困りますなぁ、こんな初歩的なことを質問されては....。

 だいたいですなぁ、もとはと言えば肩を壊した悲運の三塁手・星一徹(星飛雄馬の父)がそれをかばうために「魔送球」を編み出したのなら、なぜピッチャーに転向しなかったのか、というところから問題にすべきでしょう。

 年間に10試合ずつくらいは完全試合ができたと思われます。

 さらに言えば、なぜ星飛雄馬は「直球」「大リーグボール1号」「2号」「3号」を組み合わせた配給をしなかったのか、ということについても永遠の謎です。

 年間25試合の完全試合ができたと思われます。

 とすれば、親子合計で300試合くらいは完全試合ができたという恐ろしい机上の計算が成り立ちますなぁ。

 以上、全く回答になっていないことが判明しているようですが、終了と致します。

◇ドカベン:作者・水島新司 <ジャンル:野球>
 勿論、私は全巻持っている。『巨人の星』が魔球に頼り、リアリティが欠如している、という反逆精神から生まれた不朽の名作ではある。私も“男・岩鬼”は好きだ。

 にもかかわらず、『ドカベンプロ野球編』などという続編を作り、小さな巨人・里中に“スカイフォーク”なる魔球を授けるという愚を犯している。水島作品の中では、『あぶさん』と並んで荒唐無稽な漫画であり、そろそろ終わりにしてもらいたい。

◇あぁ播磨灘:作者・さだやす圭 <ジャンル:相撲>
 勿論、私は全巻持っている。横綱・播磨灘が「一度でも負けたらその場で引退する」と豪語。実際に、一度も負けることなく相撲協会を出て“播磨灘十番勝負”なる興行で野試合をするが、そこでも全然負けない。まさしく荒唐無稽!相撲漫画史上、ちばてつやの『のたり松太郎』と並ぶ名作と呼びたい。

◇がんばれ元気:作者・小山ゆう <ジャンル:ボクシング>
 勿論、私は全巻持っている。主人公・堀口元気が元プロボクサーの父親と旅をしながら世界チャンピオンを目指すというサクセスストーリー。山あり谷あり、恋あり死あり、と青春漫画の必要条件はふんだんに盛り込まれており、ボクシング版『タッチ』といったところか。

 で、ハッキリ言って、私は小山ゆうのファンだ。何と言っても女の子のキャラ・絵がとてもカワユイ。『スプリンター』『あずみ』なども、是非一読しておきたい。『おれは直角』も爆笑できる。

 ところで、『がんばれ元気』というタイトルはもしかしたら、ものすご〜く考えた結果かもしらんが、もしかしてとっても安直に付けたのでは?と私は疑っている。あんたどう思うね?

◇柔道部物語:作者・小林まこと <ジャンル:柔道>
 勿論、私は全巻持っている。デビュー作『1・2の三四郎』で格闘漫画にギャグを持ち込んだ極めてオリジナリティの高い作家であり、そのサービス精神にはひたすら感心する。『柔道部物語』は、中学時代は吹奏楽部だった主人公・三五十五が騙されて入った高校の柔道部がしまいには全国制覇するという、まさに“部活マンガ”。顧問の五十嵐先生も相当笑える。

◇デカスロン:作者・山田芳裕 <ジャンル:陸上>
 全巻揃えるのは並大抵ではないぞ。普通の本屋じゃ見つけられない状態になっている。この私でさえもが、全巻持っていないのだよ。

 ちなみに“デカスロン”というのは“deca”(「10」という意味を表す。deciなども同じ。デシリットルという言葉の響きが懐かしいぜ。Decemberはもともと10月だったのだが、7月・8月があとで割り込んできたそうな。詳しくは世界史の先生に聞いてみよう)と「競技」の意を表す“athlon”とが組み合わさって出来た語で『十種競技』のこと。この競技の覇者はking of sportsと呼ばれることになっている。

 で、話はというと、新潟の牛乳屋のせがれ・風見万吉が十種競技で世界の強豪たちに伍して戦うというものだが、これがまた凄い記録を連発する。やはり荒唐無稽だと言えるが、巧いとは言い難い絵と極限までのデフォルメにより、陸上マンガ史上かつてないヒット作となった。十種競技を少しでも世に知らしめた功績は大きい。

 私事であるが、もう少し自分に競技者としての才能があれば、絶対に十種競技をやっていたかと思う。走り・跳び・投げる、という人間が自分の力で何が出来るか、というのが陸上競技の面白さであるが、それを1,000点を基準とする得点に換算して総合能力を競う十種競技は他の一発で勝負が決まる種目よりも、抜きつ抜かれつがあってスリリングだ。

◇ヨリが跳ぶ:作者・ヒラマツ・ミノル <ジャンル:バレーボール>
 『デカスロン』同様、普通の本屋では全巻揃えられん。かと言って、古本屋では不足している巻だけを購入することは難しく、誰か17巻以降を売ってくれる人を探している。

 主人公・大久保ヨリはVリーグ(バレーボールの国内最高リーグのことネ)で活躍することを夢見るバレー少女。二流チームで様々なチームメートやライバルに巡り合い、成長してゆくという、文字で書いてしまえばそれだけの話なのだが、『アタックNo.1』や『サインはV』といったかつて大ブームを起こしたものとは違い、魔球も出て来ないのでリアリティもあり、私は相当高く評価している。問題は、日本のバレーボールが世界レベルからどんどん取り残されている、という寂しい事実であろう。

◇六三四の剣:作者・村上もとか  <ジャンル:剣道>
 勿論、私は全巻持っている。夫婦ともに日本一に輝く剣道家の間に生まれた主人公・六三四(これで「ムサシ」と読ませるだけでも一読の価値はある)が父の死を乗り越え、剣の道を通じて成長するという実に爽やかな話。剣道をまともにやったことのない人間をも話に引き込む画力とストーリー展開はハイレベルだと言える。

 六三四の母親(「母っちゃ」)がなぜかエロティックであるという印象が強く残っており、これはマンガ界の『オリンポスの果実』だ、と私は密かに考えている次第だ。
(でも、『オリンポスの果実』を読んだことのない人に言ってもしかたねえけど)

◇あしたのジョー:原作・高森朝雄(=梶原一騎)漫画・ちばてつや <ジャンル:ボクシング>
 単行本は1冊も持ってねえ。現在、講談社から発行されている“ジョー&飛雄馬”により、初めて読んでいるような次第である。

 既に30年ほど前の作品であるが、当時リアルタイムで少年マガジンを読んでいた記憶がない。アニメの放送は見ていたので「あしたのためのその1....打つべし打つべし!」というフレーズは奇妙に覚えているが。今、復刻されたものを初めて読むと、当時日本では異常にボクシングの人気が高かったことを窺わせる。

 このマンガでは「作画担当のちばてつやが描いたジョーのライバル・力石徹が、原作者のイメージよりかなり大きかったため、のちのち力石がジョーと戦うために“死の減量”を余儀なくされ、骨と皮だけになった減量シーンに迫力を醸し出すことになった」というエピソードに興味がある。つまり、ある失敗をしても、それをプラスに転じる力があれば、より大きな果実を得られる、ということで、私はそんなところから勇気を与えられている気もする。