入梅にもかかわらず、我々「部活.ネット」が鶴嶺高校陸上部を取材に行った6月10日は晴れていた。 (別に私=管理人の力で晴れたわけではないが...) もし雨ならば校舎内での練習となっていたところだけに、選手たち、殊に13日から始まるインターハイ南関東大会を控えたキャプテンの石原洸(タケル)くんと2年生の菅原知希くんにとっても、最終調整をする上で、恵みの天気ではあったろう。 この日、鶴嶺高校陸上部は中島スポーツセンターの400メートルトラックを使って練習したのであった。 学校のグラウンドは公立高校の悲しさで、野球・サッカーとの共用であり、たいていの場合、武器(?)を持たない陸上部が所狭しと飛び交うボールの餌食になったりする。私も高校時代、全力疾走中に野球のボールが飛んできて、避けようとした瞬間に捻挫したこともある。 (後ろ向きになっている時に、背中に一発食らったこともあります) ま、そうした危険を未然に防ぐ意味でも、茅ヶ崎唯一の400メートルトラック(でも残念ながらオールウェザー用ではなく、「土」だけど)は利用価値がある。 練習一番乗りは1年生マネージャーT.AさんとS.Kさん。特にT.Aさんは中学時代は文化部で、ある日たまたま陸上部所属の友達を探しに部室に行ったことがきっかけで、陸上の競技会を見ることになり、感動してしまい、そのままマネージャーになったという変り種だ。 彼女たちを含め、マネージャーが5人もいる。 ....ひたすら羨ましい。 3年マネの飛田さんは雰囲気を盛り上げるのが実にウマイ!好きな種目はやり投げ(北陵でも一番人気でしたなぁ)と400メートル。400メートルは全身の力を使い切るところが素敵なのだそうだ。 私はあくまで個人的に、ということだが、400メートルは大嫌いだった。だって、練習で300メートル走ったりする時でさえ、200を通過すると宇宙遊泳をしているかのように、体が前に進まないんだよ! そして、走り終わったあとに訪れる“ケツ割れ”現象。呼吸困難と乳酸溜まりまくりで、ゴール後は意識がなくなるほどだ。爽快感のカケラもないぜ。 今後の人生の中で『400メートル全力疾走するか、チーズ(大嫌いだ!)を1キロ食うか』という究極の選択を迫られたら、もしかしてチーズの方を選ぶやもしれない。考えてみると、すごく情けない陸上部員だったのね、私。) 同じく3年マネの杉森さんは幅跳びが好きだそうで、跳躍好きなマネージャーについに巡り合えた。 (だからといって、自分が誉められているわけではないんだけどね) 彼女たちに「陸上の魅力」を問うと、異口同音に『あらゆるスポーツの原点』『どんなスポーツでも走るのが基本』という答えが返ってきた。 そうなんだよ。わかってるじゃないの。陸上競技の変わらぬ素晴らしさは『道具を使わず、己の鍛え上げた肉体だけで勝負する』『大地があれば誰でもできる』『記録によって過去の自分とも、他者とも比較ができる』という点だよね。 さすが3年マネ。とてもしっかりとした受け答えで、これなら部員からの信頼も厚いに違いない。 そこに石原キャプテン登場。 彼は先日行われたインターハイ神奈川大会の男子5000メートル決勝で14分57秒という自己新記録で3位入賞を果たし、南関東大会への切符を手に入れた。 (インターハイの陸上競技では、各都道府県の上位6名までが、次のステージであるブロック大会への出場権を得る。さらにブロック大会の上位6名が全国大会に出られるシステムである。だから一番悔しいのは7位の人かもしれない。今年、北陵陸上部で県大会7位の子が二人いて、本当に可哀相だった。) 練習ぶりも尋常ではない。 詳しい練習内容については『学生特派員・まゆが行くざんす』に譲るが、私が彼にインタビューし、練習が始まってから、ちょっと暗くなってきて帰るまで、ずっと走っていた。その間、悠に2時間を超えている。 君は化け物か? おそらく(というか「絶対」)私がこの15年の塾講師生活中に、何か情けない事情があって走った距離を、今日一日だけで凌駕している! ....尊敬してしまいます。 しかも、考え方や言葉の選び方も実にしっかりしている。 さらに、インターバルトレーニング(全力に近い走りをしたあと、少しの休憩(といってもジョグなんだが)を挟んで、またほぼ全力で走る、という難行を繰り返す絶望的な練習)でもグイグイ走る。 ある種、神々しささえ感じる。彼の人間性が百の言葉で語るよりも、その走る姿に表れている、と言えば陳腐に聞こえるほどである。 ちなみに、私はこの練習も嫌いで、この練習法を発案したザトペックという選手(オリンピックで5000,10000,マラソンを全部優勝してしまうようなケダモノだった。別名「人間機関車」。この人の走りを見ると、きっと皆、勇気づけられると思うよ)を本気で怨んだこともあった。ん〜、思い出せば出すほど、自分がいかにひどい選手であったかがわかってしまい、ちょっと悲しい。 勿論、彼にもインタビューさせてもらったわけだが、練習する姿勢を見ていれば、それだけで、彼がどれほど凄いキャプテンかはわかる。 「レースでは、自分だけでなく、他のランナーもいるので、一概には言えませんが、積極的に走るのがモットーです。」 関東大会の壁もぶち抜いて、全国大会へ、さらには駅伝でも花の1区(10キロもあります)で区間賞を狙って欲しいと思います。 頑張れ、鶴高のザトペック! 次に、幅跳びで6M86cmという記録で県大会4位に入賞した2年の菅原くんにもインタビューさせてもらった。 私も告白すると、高校時代は幅跳びと三段跳びをやってはいたのだが、彼と較べると恥ずかしくて記録など書けたものではない。だから、心の底から羨ましい。 菅原くんとの一問一答。 管理人「今日は助走練習をしていたようだけど、調子はどうかな?」 菅原くん「ちょっと調子悪いですね。っていうか、このグラウンドだとよくわからないところもありますけど。」 (オールウェザー用トラックではないから、という意味です) 管理人「関東大会での目標をズバリ!」 菅原くん「7メートル跳んで、全国大会です。」 (またしても羨ましい...。7メートルとか全国大会とか、口走ってみたかったなぁ...) 管理人「誰か、目標としている選手とか、アイドル的な人はいるかな?」 菅原くん「法政大学に行っている梶川洋平さんです。中学時代に一緒の大会に出ていて、凄いと思ってました。」 ちなみに、私のアイドルは臼井淳一という人であった。この人について書くとスクロールバーが限りなく小さくなってしまうので、簡単に言っておくと、中学時代に走り高跳びの神奈川中学記録を樹立したのを皮切りに、インターハイでは3年間で異なる5種目に入賞。三段跳び優勝。大学時代に1600メートルリレーで日本新記録。その後、幅跳びで日本記録樹立、ロサンゼルス五輪7位入賞。 こう書くだけでもその凄さは伝わると思うが、実は一度だけ、神奈川県選手権という試合の幅跳びでご一緒させて頂いたことがある。私など、記録を計ってもらえない(試合進行を速くするため、一定記録以下は計測しないという非情の掟があった)のだから、参加してどうなるってものでもないのだが、そこに颯爽と臼井淳一様が登場するわけだ。 彼は軽く助走を始めたかと思うと、アッサリ7メートル60センチという記録を出して、優勝してしまった。 素敵...。 などという話を菅原くんにしたもんだから、彼も梶川選手(法政大学2年)の名を挙げたのであろうが、実際に梶川選手は先日行われた関東インカレの三段跳びで3位入賞を果たしている。私もこれからは注目しようと思う。 管理人「じゃあ、7メートル目指して頑張ってきて下さい。」 菅原くん「はい。何とかイケると思います。」 ともあれ、石原くん・菅原くんの健闘を祈ります。悔いの残らない戦いを期待していますね。
まずはミーティング
最後の調整に余念のない部員たち。 明日は頑張れよ!
引き続き、3年前の北陵高校陸上部キャプテンでもあった“特派員”関川玲くん(現・慶応大学 陸上とは全く無縁の生活を営む)に女子部員にインタビューしてもらったので、それを掲載しておこう。 彼は3年前、中地区予選の走り高跳びでジャンプオフ(最後の予選通過者を決定するための試技)によって勝ち抜けをしたという稀有な経験を持っている。顧問の岡島先生曰く「それだけでだいぶ盛り上がりましたよ」とのこと。その彼だからこその、思い入れたっぷりなインタビューである。 (ちなみに彼は、インタビューの間、しきりに『う〜ん、わかるわかる』というセリフを繰り返していた。) ★☆★☆インタビューその2★☆★☆ ◇前田梨沙さん[400Mハードルと1600Mリレーで昨年も関東大会に出場] 特派員「陸上部に入って活動を続けてよかった!と思ったのはどんな時ですか?」 前田さん「やっぱり精神的に強くなった、という事ですかね。部活以外の事でも、ツライ事があっても乗り切れるようになりました。ツライのに慣れたんですかね。(笑)あとやっぱりいい仲間に出会えた事ですね。普通に雑談したりいろいろ相談に乗ったりできる友 達が出来たというのは、すごくいいですよね。」 特派員「(う〜ん、わかるわかる)じゃ、一番辛かったのは?」 前田さん「2年の冬練!!毎日練習がハードで、体中に疲労がたまってました。思うような走り方が全然できないのがとにかく悔しかった!!」 特派員「一番楽しかった時はいつですか?」 前田さん「去年の県大会から関東大会の間!すごい調子がよかったし、他の関東大会出るメンバーと一緒に励ましあえて、そして関東に出れないメンバーも含めて全員一丸となって頑張れました。とっても皆がまとまってたと思います。」 特派員「(う〜ん、わかるわかる)北陵高校陸上部のPRをお願いします。」 前田さん「ウチの陸上部はとにかく明るいです!そしてとても仲がいい!!和気藹々として、毎日とても楽しく練習してます。練習はツライ時もあるけれど、みんながいるから頑張れるっていう事がすごく心の支えになります。また、OB・OGの皆さんがとても協力的で、よく練習に来てくれていろいろ教えてもらったりしてます。試合の時も応援に来てくれるのは、とても嬉しいですね。」 特派員「(う〜ん、わかるわかる)では、最後にインターハイ予選に向けての抱負をお願いします。」 前田さん「とにかくBestを尽くす!そして、関東大会出場します!!」 特派員「ありがとうございました。頑張って下さい。」 ←究極の「うん、わかる」男 特派員・関川玲[アキラ] ★☆★☆インタビューその3★☆★☆ ◇柿沼妙子さん[昨年は1600Mリレーで関東大会に。また、やり投げでは堂々全国大会に出場。今年は神奈川県大会優勝候補の一人に挙げられている] 特派員「一番、『続けててよかったなー』と思うのはどんな時ですか?」 柿沼さん「皆と、インターハイのような大きな大会に向かって突き進む時や、大会の時、皆が一丸となって選手を応援する時ですね。そういう時は皆のまとまりとか一体感を直に感じることができて、『あぁ、やっててよかったなー』と思いますね。」 特派員「(う〜ん、わかるわかる)一番ツラかった経験はなんですか?」 柿沼さん「ケガをして試合に出られなかった時期ですね。自分の試合に出られないのが悔しかったし、それにも増してリレーに出られずに、周りの皆に迷惑をかけたと思います。でも今はもう全然大丈夫ですよ。」 特派員「(う〜ん、わかるわかる)大学でも陸上を続けていきたいですか?」 柿沼さん「是非続けていきたいですね。陸上競技というスポーツには生涯関わっていきたいです。もともと小さいころから走るのが好きだったんですよね。その気持ちは多分ずっと変わらないと思います。」 特派員「それでは、インターハイに向けての抱負をお願いします。」 柿沼さん「目標は県で一番になる事!神奈川県にはインターハイTop10に入るような人が2人いるんですよ。その人たちに勝てば多分関東でもNo.1になれると思います。・・・負けられないですね。インターハイの決勝で、全国の強い人たちと戦いたいです。そして国体も目指したい。そのために、一つ一つの試合を大事にしていこうと思います。」 特派員「ありがとうございました。頑張って下さい。」
さて、当然のことながら顧問の先生へもインタビューさせてもらった。そこで、私(管理人)と岡島先生が、実は初対面ではなかったことが図らずも判明することとなった。 以下のインタビューのうち、一部については、当事者以外には意味不明であろうが、成り行き上、記すこととしたので、ご寛容を。
★☆★☆インタビューその4★☆★☆ ◇顧問・岡島誠先生[北陵高校陸上部を指導して8年目。ちょっとオチャメなところもある43歳。地区大会ではスターターも務める。] 管理人「初めまして。失礼ですが、私と同じくらいの年齢かとお見受けしますが、お幾つでいらっしゃいますか。」 岡島先生「43歳です。」 管理人「では私の一つ先輩ですね。先生は高校時代も陸上をやっておられたわけですか。」 岡島先生「ええ。僕は秦野高校でした。」 (この辺から、80%の読者には意味不明) 管理人「えっ?秦野高校ですか?私は平塚江南高校の陸上部でしたから、もしや、合同合宿を一緒にやりませんでしたか?」 岡島先生「えっ、そうなんですか?じゃあ、中戸川くんとか古島くんなんか知ってるわけ?」 (この辺で、90%の読者には意味不明) 管理人「そりゃ勿論先輩ですから。じゃあ、先生も草薙くんとか小町くん、大川くんは直属の後輩というわけですね。」 岡島先生「そうそう。いやぁ、江南には個人種目では負けちゃったけど、リレーでお返ししたんだよね。」(とても懐かしそうに語る) (ここら辺りまでで、99%の読者には意味不明) 管理人「ということは、お互いよく覚えていないようですが、初対面ではないということになりますね。何となく親近感が湧いてきてしまいました。さて、明日から始まるインターハイですが、北陵陸上部にとって、どういう大会なのでしょうか。」 岡島先生「3年のほとんどは、この大会を最後に引退しますから、重みのある大会として受け止めています。年間に3回ほどピークを作りますが、春のピークをこの大会に合わせています。」 管理人「どういった目標で臨まれますか。」 岡島先生「とにかく自己新を出して欲しいですね。力のない子もいますが、去年の自分を超えられるか、昨日の自分を超えられるか、というところに熱くなって取り組んでもらいたいです。だいたい彼らは、自己記録を下回って次のステージ(県大会や関東大会)に進んでも、あまり嬉しそうな顔はしませんからね。」 管理人「北陵陸上部の特徴はどんなところでしょうか。」 岡島先生「こっちが拍子抜けするほど上下関係が薄く、仲がよい点でしょうか。それでも同じ気持ち、向上心を持って練習に励んでいるのは間違いありません。」 管理人「部員たちならびにこれから北陵高校の陸上部に入ろうという中学生たちへのメッセージがあればお願いします。」 岡島先生「北陵の陸上部は“夢を見られる場所”“心の宝物を掘り出せる場所”だということを伝えたいですね。」 管理人「(特派員・関川くんバリに)よ〜くわかります。今日は試合前日のお忙しいところ、ご協力ありがとうございました。明日は応援に行きますので、是非頑張って下さい。」
暑い...。実に暑いのである。 5月初旬だというのに、どうしてまたこんなに暑いのであろうか。日頃、太陽を1時間以上続けて浴びることなど、めったにない私にこの灼熱の太陽は相当厳しいものがあった。 2003年5月3日。意を決して私は北陵陸上部の応援に行って、熱射病で倒れるかと思った。 こう見えても、元陸上部である。(25年も前の話ですが) しかし、その根性を見せるべく、やったことは『横断幕』から読み取れる、各校陸上部のカラーを写真にて報道することくらいであった。 おそらく、どの学校でもOB会のような組織があり、よかれと考えて横断幕を現役生たちに贈るのであろうが、時として意味がよくわからない。 右は中地区予選に参加した各校のものであるが、私の好みだけで言うと、鶴嶺高校の「がんばっていこう!」は陳腐なようでいて、心に響き、とっても心地よい。 評価に困ったのは、横須賀大津高校。 「想像以上に横須賀大津」 ときたもんだ。 ん〜、深い(のか?)。今度、関係者に訊いてみるつもりである。 (何しに行ったんだか....)