北陵女子バスケット部新チーム
北陵女子バスケット部 ◇鶴嶺男女バスケット部
03年度バスケット部訪問記  ◇TOPページに戻る

 


新人戦県大会組合せ表
2005.1.30up
 
歓喜のベスト4 今度は追われる立場だ!
 
 1月22日(土)。冬にしては日差しが温かい。外を歩くことが心地よい午後であった。
 
 新人戦県大会ベスト4を懸けた準々決勝「北陵−海老名」戦。「部活.ネット」では、北陵高校女子バスケット部の応援も兼ねて、横須賀アリーナへと取材に出向いた。

 昨年は1回戦で当たった両チームだが、今年は勝ちあがり、準々決勝での対戦となった。

 試合前、アップする選手たちは「こんにちは〜」と元気に挨拶してくれた。フロアに椅子を並べた応援席には、保護者の皆さんも勢揃い。いよいよ、「決戦」のムードは高まってきた。

 で、キャプテンの今井選手のお母さんにインタビューしてみたところ、「部活.ネットはいつも見ています。でも、この間取材に来てくれた時(昨年の新人戦1回戦の海老名高校戦)は、海老名に負けちゃいましたよねぇ。今日は大丈夫かしら。」などと先制パンチを食う我々であった。
 
 ....重たい滑り出しであった。何しろ試合開始後2分以上、両チームとも 無得点である。

 しかし、ようやくエンジンの掛かってきた北陵が先制。その後、海老名も応酬し、第1ピリオドを終えて13−13のタイスコアであった。

 第2ピリオドは北陵が地力を発揮。エース・今井さんのシュートが決まり、近藤さんのブロック・リバウンドも冴えた。やはり、まずこの2年生コンビが活躍することで北陵は波に乗れる。

 ハーフタイムを迎えた時、スコアは「北陵40−23海老名」に開き、これは安泰かと思われたが、ハーフタイム、前キャプテンである片山ななえさんに聞いたところ、

 「海老名は部員が5人しかいないので、精神的にとても強いです。ファールアウトも出来ない、ということで自覚も北陵よりも数段上だと思いますから、まだまだ全く安心できないですね。」

 と語ってくれた。

 そう。海老名は部員が5人だけなのである。これがどれほど大変なことかは、バスケットをやったことのある人なら、間違いなく解るはずである。

 5ファールによる退場は勿論、けがによる交替も、戦術的交替もできないのだ。その状態の中で、よくぞ県大会ベスト8にまで勝ち上がってきたものである。

 そして、後半に入ると、海老名がその精神力を発揮し始めた。第3ピリオドでは、得点差を5点縮めたのである。片山前キャプテンが言ったことが、間違っていないことが証明された。
 
 ずっと出づっぱり、というのは体力的にも精神的にも厳しい。その中での追い上げは、北陵の応援に来たにも関わらず、感動を誘うものであった。

 最終結果は「北陵63−47海老名」となったが、けして北陵の楽勝だったわけではない。北陵も全力を尽くしたからこその勝利、そしてベスト4であったわけだ。
 
 「見ている人に感動と勇気を」というテーマに取り組んでいる北陵女子バスケット部。今日は感動をもらいました。そして、5人で最後まで諦めずに頑張った海老名の選手たちにも、「ありがとう」と言いたいです。

 岡崎先生、部員の皆さん。本当におめでとうございます。これからは、目標・標的とされる立場になりますよ。でも、まだまだ金沢総合高校や藤沢工科高校など、上にいるチームもありますから、モチベーションを落とすことなく、頑張って下さい。

 まずは、チーム目標である「関東大会進出」(春の県大会上位5チームに出場権)を目指し、春の大会に向け、一層の体力アップ、精神力アップ、スキルアップ、さらには戦術面でのブラッシュアップを期待していますね。

 「部活.ネット」では、今後とも北陵女子バスケット部を応援することをお約束致します。また、北陵以外の高校の健闘ぶりも目立った今大会(男子・鶴嶺と女子・茅ヶ崎がベスト16入り)。機運の盛り上がったところで、是非、バスケットの特集が組めれば幸いです。
 

ベスト4進出に喜び爆発の今井現キャプテン(左)と片山前キャプテン。今井さんは「嬉しい〜」とインタビュー(?)に応えてくれました。

  
    
試合中の写真が黄色っぽいのは、アリーナの床の色のせいです(たぶん)。ご容赦を。

インタビューしました!

その1:前キャプテン・片山ななえさん

 進学先も決まり、後輩たちの応援に来ていた片山さん。相手が昨年敗れている海老名とあって、力も入ってました。

管理人「今年のチームはどうですか?」
片山さん「部員が多く、ベンチに入れない子もいますから、緊張感のある雰囲気の中で練習できていますね。」
管理人「1年生の中には、岡崎先生が誘ってきた有望選手もいますが。」
片山さん「北陵でバスケットがやりたい、という気持ちは皆同じですから、問題ないと思います。」
管理人「今井現キャプテンについては?」
片山さん「ちゃんと部員たちのことを見ていると思います。プレーでもそれを示そうとしていますね。」
管理人「ところで、大学進学後は、バスケットは続けますか?」
片山さん「う〜ん、それはまだわかりませんね。やりたい気持ちもあるのですが...」

 引退試合となった、インターハイ県予選の荏田高校戦に、ちょっとした悔いが残っている、と言う片山さん。残る高校生活と、春からの大学生活をエンジョイして下さいね。また、どこかの会場で会った時は、声を掛けて下さい。

その2:現キャプテン今井陽水さんのお母様(写真右)と近藤めぐみさんのお母様(写真左)

 今回は、保護者代表として、キャプテン・今井陽水さんのお母様と、岡崎先生から「今日の最大の功労者」と称された、近藤めぐみさんのお母様に、ハーフタイムにインタビューさせてもらいました。

管理人「キャプテンに指名されて、今井さんはご家庭で何か変わりましたか?」
今井さん母「そうですね、チームのために役に立って頑張ろう、とはしていますね。電車の時間を調べたりとか。生活態度が変わったと思います。」
管理人「近藤さんはどうですか?」
近藤さん母「体が硬いので、自宅で毎日ストレッチするようになりましたね。それと、練習や試合のために、ちゃんと睡眠時間を取るように心掛けているようです。勉強時間より、そっちを大事にしているというか...(笑)」
管理人「今年のチームにどんなことを期待されていますか?」
今井さん母・近藤さん母「一生懸命にやって、チーム全体がどれくらい頑張れるか、ということを一番楽しみにしています。」

 ありがとうございました。帰りがけに、今井さんのお母様から差し入れのドーナツを頂きました。どうもご馳走様でした。よかったですね、ベスト4。

その3:岡崎朝夫先生

 昨年の雪辱を果たすとともに、ベスト4入りを決めた直後、岡崎先生にインタビューさせてもらいました。

管理人「おめでとうございます。今日の結果、ならびに経過についてどうお感じになっていますか?」
岡崎「最終的には16点差でしたが、点数ほどの力の差はないので、選手達がよく頑張ってくれたと思います。」
管理人「特にどのあたりが目につきましたか?」
岡崎「オフェンスでは、今井以外がよくインサイドを攻めていたことですね。あと、ファールをもらうというのも、プラン通りに行ったと思います。」
管理人「ディフェンスも相当タイトに頑張ったように思いますが?」
岡崎「そうですね。特に近藤がディフェンスとリバウンドに頑張って、海老名の国体候補の子から3つめのファールをもらったことが大きかったです。今日の最大の功労者と言えるでしょうね。」
管理人「差し迫った問題として、明日の藤沢工科との準決勝もありますが、今後のチームの方向性というのもお聞かせ願えるでしょうか?」
岡崎「フィジカル面を強化して、選手層を厚くしたいと思いますね。今後は、通常の練習が今日の試合くらいのレベルで出来るようにしたいと思います。」
管理人「はい。期待していますね。また取材に伺いますので、頑張って下さい。本当におめでとうございました。」
岡崎「ありがとうございました。」

 別れ際、私(管理人)と握手する時に、「あっ、強く握っちゃいけないんでしたっけね?」と、右手首腱鞘炎の私を気遣って下さった優しい岡崎先生でした。今後も、ますます期待していますよ!


<編集・注>
 翌日の藤沢工科高校との準決勝は、残念ながら56−73で惜敗。しかし、今後両校は湘南地区の覇権を巡って、熱い戦いを続けてゆくことでしょう。茅ヶ崎高校も含め、それも楽しみですね。
 
  
快勝に湧く応援席とベンチ。横須賀アリーナは、夕陽を映して美しかったですよ。

新人戦県大会組合せ表
顧問:岡崎朝夫先生
 
皆で決めた目標は『関東大会出場』
まずは、22日の海老名戦に勝ってベスト4を目指す
 
 やってくれました。

 昨年来、期待を持って追い続けた北陵高校女子バスケット部が、新人戦県大会でベスト8進出を決めたのである。

 これまで、一つの壁ともなっていた「8強」であるが、16日に行われた3回戦で、湘南学院高校との接戦を2点差で制し、ついにその壁を突破した。
新人戦トーナメント表 をご参照下さい)

 ハイレベルな湘南地区を制しての県大会出場であっただけに、期待もされていたわけだが、県大会に進出してくるチームに弱いところはない。実際、昨年の新人戦も、北陵女子は期待度の高い好チームであったが、結果的に1回戦で海老名高校の前に敗れ去っている、という事実を見れば、県大会を勝ち抜いてゆくことの困難さが解ろうというものだ。

 湘南地区からは、北陵の他、藤沢工科・藤沢西の両校もベスト8に進出。茅ヶ崎高校も敗れたとはいえ、3回戦で強豪の相模女子大高校と大接戦を演じている。

 ある意味、これらのチームが切磋琢磨することで、湘南地区のレベルはさらに上がり、また、北陵のチーム内での切磋琢磨も必然的に生じてくる。それが更なる意識向上を生む、という循環を起こす。

 短期間でチームをここまで押し上げてきた岡崎朝夫先生の手腕も素晴らしいし、それに応えている部員たちも立派である。

 「部活.ネット」では、1月20日(木)、二日後に海老名高校との「因縁」の準々決勝を控えた北陵女子バスケット部を緊急取材させてもらった。わずか1時間ほどの駆け足訪問ではあったが、彼女たちの熱意は十分に感じてきたつもりである。

 勿論、22日の海老名高校戦も応援に行く予定です。是非とも勝利して、まずはベスト4、さらには決勝戦へと進出してくれることを願ってやみません。
(ちなみに、決勝に進出すると、新人戦の関東大会に出場できます。決勝の相手は、ウィンターカップで全国を制した金沢総合高校と予想されます。)

「現状維持は衰退である」 by 岡崎朝夫
 
 この人は自信家である。傲慢、というのとは勿論意味が違う。まさしく「自らを信じる」ことのできる人、という意味である。

 そして、この人は“言葉の力”を熟知している。

 その一例が冒頭の「現状維持は衰退である」という言葉に表れていると言えよう。
 
 私(管理人)の聞いたところでは、この言葉には二様の意味がある。

 一つには「今現在の力でずっと試合に出続けられると思ったら大間違い」という、選手個々へのメッセージである。

 前回取材の際にも触れたことではあるが、現1年生の中には、岡崎先生自らがリクルートしてきた子も数名いて、現チームの選手層は厚い。その中で、試合に出続けられるだけの力を保つには、現状維持では足りない、ということであろう。

 もう一つには、仮にこのチームが新人戦でベスト4に入ったとすると、今度はシードされる立場となり、『北陵のブロックに入ればラッキー』と考えるチームの標的にされる。だから、現状維持では勝ち続けることは出来ない、ということであろう。

 私の予想を言わせてもらえれば、彼は部員たちの心に届く言葉を日々模索しているに違いない。よき指導者というのは、様々なシチュエーションを考慮して、「言葉の引き出し」なるものを設営しているものだ。彼もその引き出しを持っている一人だと見ている。
(ものすごく間違っていたらゴメンナサイ)

 前置きが長くなったが、岡崎先生との対話から、北陵女子バスケット部の今後を展望してみたい。

管理人「前チームと変わった点はどんなところですか?」
岡崎先生「勝ち負けに関係なく、自信を持ってやれていることですね。手探りでない部分が多くなってきた、と言いましょうか。」

管理人「精神的にも強くなったと?」
岡崎先生「そうですね。1年生たちも意識が高いので、2年生の子たちもより頑張れる、という相乗効果もありますね。」

管理人「戦術面で変化したところはありますか?」
岡崎先生「キャプテンの今井がエースではありますが、それだけに頼らない、チームとしての戦術も含めた統一性というものが出てきましたね。バスケットをやってゆく上では、どうしても『社会力』も必要になりますから、戦略・戦術だけでなく、生活面でもいろいろと考えさせています。」

管理人「さて、22日の海老名高校との準々決勝に向けてのお話も伺いたいと思います。昨年の新人戦では初戦で当たって、残念ながら負けたという経緯がありますが。」
岡崎先生「今年に関しては力は劣っていないと思います。ただ、海老名は部員が5人しかいないので、一人一人の責任感も強く、それにやられてしまわないとも限りません。うちはまだまだ自覚が足りないところがありますから。」
※編集注:「5人」というのは、バスケットでゲームをするのに必要最低限の人数です。つまり、海老名はファールアウトも許されない、という状況で戦って、ベスト8まで勝ち進んできたことになります。これは称賛ものです。

管理人「現チームでの目標を聞かせてもらえますか?」
岡崎先生「まず、前チームが最終的に為しえたレベルに、新人戦までに到達したいと思っています。成績で言えば、県ベスト4、春の関東大会出場(県上位5チームに出場権)といったところになります。」

管理人「インターハイ(県の上位2チームが出場できる)も視野には入っているのではないですか?それに、金沢総合との対戦も楽しみであるとか...?」
岡崎先生「金沢総合は1年生主体なので、未知数のところがありますが、ひと泡吹かせたい、という気持ちはありますよ。全く手の届かないチームだとは思っていません。ただ、うちのチームはまだ個々の厳しさが足りないので、このままでは目標達成は難しいと思いますね。まさしく、『現状維持は衰退』というところです。」

管理人「ありがとうございました。それでは22日の海老名高校戦も取材に伺いますね。是非、ベスト4、さらには決勝を目指して下さい。」
 

キャプテン・今井さんにインタビュー
 
 キャプテンは、無難にチームをまとめるということだけでなく、そのプレーぶりも期待される今井陽水(あきみ)さん。試合前の練習の合間ということで、ちょっとだけお付き合いしてもらいました。

管理人「どうですか、キャプテンをやってみて。」
今井さん「いやぁ、人数多くて大変です。でも、2年が5人で、1年が16人という構成なので、私だけでなく、他の2年生が自覚を持ってやってくれているので、大丈夫です。」
 
管理人「チームとして、まだ足りない点などはありますか?」
今井さん「オフェンスの出だしが悪いことと、ディフェンスでは点差が開いた時に油断して、雑になるところがあることですね。湘南学院戦では、それで追いつかれたりしましたから。」

管理人「チームとして、また、プレーヤーとしての目標を聞かせてもらえますか?」
今井さん「チームとしては、関東大会に出場することが目標です。これは新チームになってから、皆で決めました。個人としては、どんな試合でも普段通りにやる、ということです。海老名戦には勝ちたいです。」

管理人「ありがとうございました。では、22日の海老名戦での活躍を期待していますね。」

 前チーム時代からエースの役割を担ってきた今井さん。今度はキャプテンという重責を負っての戦いです。全力を出し切ってのプレーに期待していますね。

  
 何となくではあるが、春先に訪問させてもらった時よりも、1年生たちが大人の雰囲気になっているように思えた。やはり、夏を越え、冬を越えたせいだろうか...。

04年インターハイ県大会組合せ ◇2003年度北陵バスケット部訪問記
顧問:岡崎朝夫先生
ただならぬ掌握力で赤丸上昇中
 
 3年9人、2年7人、そして新1年生16人。その32名の部員を束ねる『嵐の男』岡崎朝夫。

 彼は昨年、この北陵高校に赴任してきたばかりであるが、既に部員たちに対して精神的な革命をもたらし、すっかり自らのチームを掌握している。

 通例、新たに赴任してきた先生がチームを掌握し、自らの構想を築き上げるのには3〜4年が必要とされる。というのも、赴任してきた時点で在籍している部員たちは、大概、別の色に染まっており、その色を変えてゆくには、当初の部員がすっかり入れ替わるだけの歳月が不可欠だからである。

 しかし、嵐・岡崎に、そんな通常の概念はない。部員と対峙し、バスケットボールを通じて、厳しいコミュニケーションを図っている。

 このことは、昨年からの取材でも十分に窺われたが、新1年生をリクルートしてきた(リクルートしてない部員も勿論いる)ことで、さらに求心力を得ているのである。

 新1年生の半分ほどは、自ら声を掛けたり、中学の先生に推挙された子であるが、裏を返せば、残る半分はそうでない子たちだということになる。

 接し方が難しいのでは?と考えるところだが、嵐・岡崎曰く「リクルートされて入った子たちの意識レベルが高いので、そうでない子たちも自然に意識が上がっている。彼女たち自身もそのこと(リクルートされたか否か)はわかっているし、隠しもしない。練習での区別はないし、リクルートなしで入ってきた子にも、いい素材の子はいますよ。常に競争はあります。」とのことだ。

 さらに、現キャプテン・片山ななえさんの存在も大きい。

 話をしていても、ひじょうにクレバーであり、岡崎先生の考えを知った上、部員たちの気持ちをまとめている。彼女は、勿論、岡崎先生にリクルートされたわけではないが、コートの中では、労を惜しまず岡崎イズムを発揮している。

 そんな北陵女子バスケット部が、いよいよ引退を懸けたインターハイ予選に臨む。

 『部活.ネット』では、彼女たちを追った1年間の集大成としても、思い入れも込め、応援したい。
  
  

経験値も加わり、今回こそ目標達成へ! 県大会女子組合せ
 
 北陵女子は、これまでに幾つかの試練を受けてきた。

 昨秋の新人戦湘南地区決勝で、藤沢工科に1ゴール差の惜敗。これに勝っていれば、県大会でのシードを得ることができたので、一気に目標の県ベスト4を叶えられたかもしれない。実際、藤沢工科は県準優勝で、関東大会にまで進出している。

 さらに、この春に行われた関東大会県予選でのベスト8決めの試合。最終的に関東大会に進出した荏田高校に、やはり1ゴール差で惜敗。

 勝負事に『れば・たら』は禁物であるが、思わず「あの時....」と考えずにはいられない。

 しかし、そうした「負ける経験」は無意味ではなかったはずだ。

 インターハイ湘南地区予選を一蹴、順調に県大会へとコマを進めた北陵。県大会では、順当にいけば、2回戦で“因縁の”荏田高校と当たる(6月5日)ことになる。

 もう、『善戦』はいらない。是非とも勝って欲しい。そして、我々も一緒に喜びたい。

嵐の男・岡崎先生にインタビュー
 
 今回、どうしても聞きたかったのは、新1年生を何人かリクルートしてきたことによる波紋。このことによって、部の運営がどう変わる(もしくは、変わらない)のか、ということであった。

Q:1年生にはずいぶんと学区外の子もいるようですが。
A:厚木・藤沢・平塚・湯河原など、半分は学区外ですね。いろいろな学校の練習に参加した上で、最終的に北陵に来てもらいましたから、責任は重いです。
Q:先生がリクルートしてきた子も何人かいるようですが、そうでない子もいますね。バスケットをやる上で、また、部の運営をしてゆく上で、そうしたことが障害になったりはしませんか?
A:リクルートしてきた子とそうでない子がいるのは、彼女たちもわかっていますし、ごまかすこともできません。しかし、幸いなことに、リクルートしてきた子たちは意識レベルが高く、皆、それにつられて意識が向上してますから、心配していたようなことにはなりませんでしたね。
Q:1年生に何か期待するところはありますか?
A:現段階では、選手として期待する、ということはありません。北陵バスケット部は一所懸命にやる部活だと自覚して入っていますから、まずは声を出して応援するところから頑張ってもらいたいです。
Q:先生の方針そのものも、「見ている人に感動とエネルギーを」で変わりありませんか?
A:ええ。方針に変化はありません。
Q:いよいよ、インターハイが近づきましたが、新人戦・関東大会以降、特に鍛えられた点はありますか?
A:関東大会のあと1週間は、体力強化に努めました。フィジカルを強くして、ピーキング(どこにピークを持ってくるか)も再確認しました。
Q:どこにピークを?
A:県大会に出れば、どこも強いので、県大会の1回戦に照準を合わせるつもりです。
Q:目標とされる県ベスト4を果たすのに、キーパーソンは誰だとお考えですか?
A:まあ、控えも含めて3年生全員が鍵を握っているといえますが、やはりキャプテンの片山ですね。いろいろなものを一人で背負ってきたところもある子ですから。2年ではセンターの今井がどれほど頑張れるか、ですね。
Q:キャプテンの片山さんのキャプテンシーについてはいかがですか?
A:前任校も含めて、今年で9年目ですが、最高のキャプテンだと思いますよ。全く問題ありません。
Q:控えの3年生に対しては、どのようなお気持ちですか?
A:自分の役割を全うしてもらいたい、というところですね。自分を犠牲にできる、ということは自分を生かす、ということでもありますし。2・3年生たちは『次世代に繋げる』ということを意識してやっていますよ。全国大会で優勝できるわけではありませんから、いずれ負ける日が来ます。自分たちがやってきたことを継承してゆく、ということを大切にしてくれていると思いますよ。
Q:最後に。バスケット部が北陵高校に対してもたらせるものは何でしょう?
A:まず、学校生活で見本になれるような高校生である、ということです。それと、井の中の蛙になりがちな北陵生ですが、世界を広げて、荒波に触れる、という経験をもたらせるかと思います。
Q:どうもありがとうございました。県ベスト4目指して、頑張って下さい。

 訪問した日は季節外れの台風が来ていた。岡崎先生は、練習終了後、最後の生徒が帰宅することを確認するまで、学校に残っていた。

 厳しいだけではなく、そうした心遣いが部員、さらにはその親御さんをもサポーターにしてゆき、岡崎イズムはさらに浸透してゆくことであろう。
 
 県大会が楽しみである。

キャプテン・片山さん「絶好調宣言」!?
 
 練習前の忙しい時間を縫って、キャプテンの片山ななえさんにインタビューさせてもらいました。彼女に話を聞くのは、これで4〜5回目だが、その度に成長してゆく様が見て取れる。クレバー且つ、骨惜しみをしないプレーとともに、頼もしく感じる。

Q:新学年を迎えて、チームの方はどうですか?
A:やっぱり1年生が16人入って、活気が出ましたね。3年生としての責任も感じます。
Q:いよいよ、引退を懸けたインターハイ予選が始まりましたが、仕上がり具合はいかがですか?
A:関東大会の湘南地区予選決勝で、茅高に1点差で負けて、まだまだ甘いと思いました。それで、県大会で目標を再度確認して、戦いました。ベスト8決めの試合で1ゴール差で負けたのですが、気持ちの甘さはなくなってきたと思います。
Q:キャプテンとして、チームが苦境に立った時、どうやってそれを打破しているのですか?
A:とにかく声を掛けて、コミュニケーションを図ります。プレーでも、自分で得点できるよう頑張ります。
Q:プレーヤーとして、最後の大会に臨む気持ちを聞かせて下さい。
A:今はけがもなく、好調なので、それをプレーでも出せれば、と思います。
Q:「絶好調宣言」と受け取っていいですか?
A:はい。
Q:では、目標の県ベスト4に向けて頑張って下さい。けが、しないでね。

 彼女は、この日の練習開始の際も、チームメイトたちに「体調管理をしっかりしよう」と声掛けしていた。入念なアップも、けがを防止する意味合いが強いのだろう。

 昨年6月の「鶴北戦」以来、彼女と北陵バスケット部の成長を見てきたので、最後の最後まで、全力でプレーできるよう、祈ってやまない。県大会2回戦では、因縁の荏田高校と当たる可能性が高いが、「部活.ネット」も必ず応援に行きますね。

 勝つところを見たら、私(管理人)も泣くかもしれませんが、それはきっと「感動とエネルギー」をもらった証です。すごく勝たせてあげたい...。

1年生パワー、うるさいくらい元気!
  
左)迫り来る1年生軍団。恐るべきパワーに管理人もたじたじ 中)中学時代のケガでチーム練習に加われない1年生もいるが、健気に個人練習している 右)自主的に集合写真に収まる部員たち。素晴らしい活気です
 
 練習が始まる前のひととき。我々が体育館に入ってゆくと、明らかに3月までとは雰囲気が違った。

 その原因はすぐにわかった。...あまりにも元気な1年生たちである。

 人懐こい、と言うか、何と言うか...。「部活.ネット?中学時代から知ってま〜す。」どうも、ありがと。

 自ら私のもとにやってきてくれたのは、久保晴香さん(寒川中出身)・中村麻衣さん(旭丘中出身)・瓦亜衣さん(浜須賀中出身)の3人。北陵高校女子バスケット部について聞いてみた。

 「中学時代からここに入ることを意識して、夏休みくらいから練習に参加してました。」
 「先輩に誘われて...」
 「練習にメリハリがあっていいですよ。」
 「楽しい!声を出して励ましあっているのもいい。」
 「先輩・後輩の関係がいい。ただの仲良し、ということではなくて、きちんとするところはしている。」
 「目標ですか?全国大会出場です!」

 放っておくと、いつまでも喋り続けてしまいそうだったが、だからこそ本音で話してくれたのかも。いずれ、君たちの時代が来るので、その時にはまた取材に協力して下さいね。

 さて、全体練習が始まってからも、体育館の隅で、黙々とボールに触れている女の子がいた。最初はマネージャーなのかとも思ったが、列記としたプレーヤーの大森ひかるさん(湘南台中出身)であった。

 よく見ると、彼女は右足の膝に頑丈そうなサポーター(?)をしている。

 「けがでもしましたか?」
 「ええ。中学時代に、右足十字靭帯断裂をやってしまいまして。」
(これは、鶴嶺高校女子バレー部のキャプテンと同じけがだ)
 「プレーヤーとして頑張りたいの?」
 「はい。中学の先生に薦められて、北陵なら治ってからプレーできるから、と。」
 「今はリハビリ中というところかな?」
 「はい。2月に手術して、リハビリに8ケ月は掛かると言われています。筋トレとかをやって、コートに立ちたいです。」
(あまりの健気さに、思い切った質問もしてみました)
 「岡崎先生の指導を実際に受けてみて、どうですか?」
 「個人個人の性格も見た上で、いろいろと考えてくれます。バスケットのことだけでなく、その他のことも。」
 「北陵バスケット部に入って、よかった?」
 「はい。」

 けがをして一番辛いのは、言うまでもなく本人である。大森さんには、けして諦めることなく、トライし続けてもらいたい。こんなシーンにも、北陵女子バスケット部の一面が窺われた気がする。また、取材に来ますので、それまでに、少しでも回復していることを願っていますね。


追い上げ一歩届かず....荏田高校も強かった
2004.6.12 於:寒川総合体育館
  
  
 苦しい立ち上がりだった。

 最初のゴールこそ北陵だったが、コート上の選手たちの動きがいかにも硬い。いくつかミスも出た。キャプテン・片山さん、ポイントガードの小林さんという精神的支柱である二人のシュートもなかなか決まらない。オフェンスリバウンドもほとんど取れない。

 第1クォーターを終わってみると、9−22というスコアになっていた。

 関東大会予選の試合が1ゴール差の接戦であったように、両チームの力がスコアほどには違わないことは、指揮を執る岡崎先生にも、選手たちにもわかっていたはずだ。それだけに、もどかしさもあったろう。
 
 ベンチ後方から試合を見させてもらっていた私(管理人)は、「よくタイムアウトを取らずに辛抱するなぁ」と岡崎采配の我慢強さに感心もしていた。

 第2クォーター、北陵のディフェンスがにわかにタイトになる。出だしの2分だけで、24秒オーバーを2回奪い、次第にリバウンドも取れるようになってきた。

 しかし、攻撃の方は2年生センターの今井陽水(あきみ)さんのインサイドシュートが外れると、なかなかあとが続かない、という状態で、残り時間2分というところで、ついに得点差は18となってしまった。

 精神的に弱いチームだと、ここいらでゲームを投げてしまう。私もちょっと、それを心配したが、ようやく吹っ切れたのか、ここから、北陵高校はやっと本領を発揮し始めた。最後は小林さんのシュートが決まって、このクォーターの最終スコアを20−32にまで詰め、ハーフタイムとなった。

 第3クォーター開始後、またしても17点差に広げられる展開となったが、小林さんのカットイン(2人抜きの妙技であった)が決まると、俄然追い上げムードに。相手の得点を限りなくゼロに抑えながら、少しずつ差を詰める以外の方法はない。きっかけが欲しいところであったから、それは絶妙のタイミングで決まったと言えた。

 しかし、まだ得点は27−40であり、さらにもう一つ流れを変えるプレーが欲しい。そう思ったところに、ようやく片山さんのシュートが決まり、さらに相手のシュートを完全にブロック。ついに35−41の6点差にまで追い上げた。

 観客席では応援部隊が立ち上がって、声を出し続ける。ベンチもこれまでの沈黙を破って大騒ぎ。

 この試合、北陵が初めてペースを握った場面であった。

 ただ、第3クォーターの終りに、2本ミドルシュートを決められ、35−45に。どうにか、1ケタ差で終わりたかったところだが、相手の主力にファールトラブルもあり、十分射程圏に入ったと思われた。

 さて、勝負の最終クォーター。北陵は、センター今井さんが立て続けに3ゴールを決め、アッと言う間にその差を4点に詰めた。

 それを可能にさせたのは、フロントコートからの激しいプレスディフェンスであった。

 北陵はこの日4つめの24秒バイオレーションを奪い、「攻めるディフェンス」を体現することで、強豪・荏田高校に立ち向かったのであった。

 これに荏田も反応。前から当たり、ボールを奪って入れ返す。両チームとも、実にタイトなディフェンスで、一進一退。5分を過ぎたところで、47−53の6点差。

 ここで、嵐・岡崎が立ち上がり(というか、この人はほとんど座ってないが)、ついに北陵応援席に向かって、両手を広げて下から上への「煽り」を見せる。ベンチと応援席からは、ほとんど絶叫のような声が絶えなくなった。

 声援に押され、キャプテン片山さんのシュートが決まる。残り3分というところで、再び4点差に。試合はクライマックスを迎えようとしていた。

 残り1分31秒、三たび4点差となった時、荏田応援席も絶叫状態に。

 ...しかし、それが精一杯であった。

 残り1分2秒、荏田の3ポイントが鮮やかに決まり、8点差に。懸命のフルコートディフェンスで6点差にまで追いすがったのが、最後の見せ場となってしまった。

 荏田高校は強かった。北陵も、間違いなく強かった。しかし、一方は勝者となり、もう一方は敗者となるのが、ゲームの持つ運命である。

 昨年の鶴北戦から約1年。彼女らの奮闘努力を垣間見てきただけに、勝たせてあげたかった。勝者と敗者を分かつ、薄紙のような敷居は、またしても荏田に優しかった。

 お疲れ様。そして、ありがとう。

 チームが目指す『見ている人に感動とエネルギーを』という視点から言えば、満点の出来だった。

 試合後、泣いていた1・2年生諸君は、懸命にステージを駈け上がっていった先輩たちの姿を覚えていて欲しい。今度は君たちから感動とエネルギーをもらえたなら幸いである。

Before Game
 
 会場は寒川総合体育館。一般の公立高校の体育館とは違って、立派な観客席もある。

 その一角に、北陵女子バスケット部母親部隊が陣取っていたので、のこのこお邪魔してきました。新人戦の時以来ですね。

 時間もあまりなかったので、代表として、ガードの小林優香さんのお母様にお話を聞きました。
 
Q:今日は出掛ける時に、何か言葉を掛けられましたか?
A:そうですね。3年間の集大成だから、精一杯やってきなさいと言って見送りました。
Q:荏田高校は因縁の相手ですが、今のお気持ちは?
A:是非、リベンジして欲しいですね。
Q:では、応援、頑張って下さい。

 試合中、子供たちへの応援ぶりは凄まじいものがあった。やはり、引退を懸けている、という切迫感は親御さんたちをも、熱の渦に巻き込んでいくものであろう。

 お母様方もお疲れ様でした。
 

Half Time
 
 ハーフタイム。我々の隣で観戦していたお二人の話から(盗聴していたわけではないのですが)、どうやら近隣の中学のバスケット部顧問の先生ではないかと推察。ちょっとお話を伺ってみました。

 写真左は、赤羽根中バスケット部顧問の木村先生。センターの今井さんなど、北陵にも好選手を送り出している。
 
 「部活ネット、読んでますよ。」と嬉しいお言葉。教え子の今井さんについては、「すごい身体能力があるわけではないのですが、バスケット選手としてのセンスは中学時代から素晴らしいものがありました。」とのこと。
 
 写真中は、昨年まで寒川中学でバスケットを指導されていた間井(まい)先生。キャプテンの片山さんはその時の教え子。現在は寒川南小学校で教鞭を執られている。

Q:中学時代の片山さんはどんな選手でしたか?
A:責任感が強すぎるくらい強い子で。
Q:やはり、キャプテンを?
A:ええ。
Q:今日の調子は、先生から見てどうですか?
A:ちょっと硬いですね。でも、まだ後半が残っていますから。ハーフタイムで12点差なら、十分逆転は可能だと思いますよ。
Q:そうですね。では、一緒に応援しましょう。

 中学から選手を送り出した先生たちが、成長した教え子の姿を見るという光景であるが、これは岡崎先生と中学の先生との信頼関係の表れだと考えられる。
 
 こうしたことが継続することで、北陵高校のバスケット部が強くなるのは勿論であるが、地域が子供を育てる、という図式に貢献していると言えるだろう。是非、続いていってもらいたいものだ。

After Game

試合後、応援席への挨拶
 
 大概、負けた試合のあとにインタビューするのは、ちょっと憚られるものがある。が、嵐・岡崎先生は事前に「勝っても負けても、きちんとお話します」と約束してくれた。

 それでも、彼が現れるまではかなりドキドキモードになっていたのは言うまでもない。勝った時はともかく、負けた直後は脳内にさまざまなことが駆け巡り、整理がつかないことも多いものだ。まして、この試合を以って、3年生たちは引退することになったのである。
 
Q:聞きにくいのですが、今日の試合については?
A:負けたわけですから、気分がスッキリ、ということはありませんが、少なくとも、これまでやってきたことは出せましたから、悔いはありません。彼女たちの力は出たと思います。
Q:タイムアウトの際、かなり激しい口調で、キャプテンに何か話されていましたが、あれは何を言っていたのですか?差し支えなければ教えて下さい。
A:まあ、相手に対して自分たちが勝っていることを徹底してやろう、ということを指示したわけです。具体的に何を頑張るのか、ということですね。
Q:現チームのよかった点というのはどこになりますか?
A:自信を持って、人の前でプレーできるチームだったということですね。諦めず、我がままにならず、全力を尽くすチームであったことは誇っていいかと思います。
Q:3年生の子たちに、何か贈る言葉をお願いします。
A:彼女たちは2年生の時から、私が見るようになったわけですが、片山を中心にして、一人の退部者も出さずについてきてくれたことには感謝しています。年下ではありますが、彼女たちのことを尊敬しています。いろいろとこちらも学ばせてもらいました。
Q:これから、まだ男子の試合がありますし、女子の新チームのことなどで頭がいっぱいでしょうね。
A:そうですね。男子は間違いなく女子よりも潜在能力はありますから、勝ち進むこともあると思いますが、私自身の気持ちの切り替えが出来るかどうかにも懸かっていますね。
(編集・注 男子は激戦を勝ち抜き、見事ベスト8にまで進出!)
Q:では、また鶴北戦で新チームとお会いできることを楽しみにしていますね。
A:ええ。是非とも、継続して見てやって下さい。お願いします。
Q:勿論です。

 最後は握手をして別れたのだが、彼の手には力がこめられていた。私は重度の手首腱鞘炎なので、「あまり強く握らないでね」と心の中で呟いてみたが、遅かった...。

 また、取材に行きますね。
 
   
敗戦後、背中を震わせて泣く1年生部員。君たちにとっては、これは始まりだ!

素晴らしいキャプテンだった君へ
 
 中学時代の先生も、岡崎先生も「責任感が強すぎるほど強い」と評されていた片山ななえキャプテン。 

 試合後に話をしたわけではないから、想像の範疇に過ぎないが、もしや君は自分を責めてはいないだろうか?

 もし、そうでないなら幸いだが。

 私は君と毎日会っていたわけではないし、会った時にも、何時間も話せたわけではなかったね。

荏田戦を前に抱負を語るの図
 
 しかし、その僅かな話やコートでの君のプレーぶりから、どれほど君が真摯にバスケットに取り組んでいるのかは、理解しているつもりであった。

 取材者として、取材対象にあまりに強い思い入れを持つことが、常によいことだとは考えていないが、君の自己表現がストイックであるがゆえ、荏田高校との試合前、とても伝えたくなった言葉がある。

 「プレーヤー・片山ななえの本領を発揮してくれ」と。

 勿論、その言葉は、取材者としての分を超えたものであり、君に動揺を与える可能性もあったので、飲み込んだのであるが。

 多くのバスケットプレーヤーが、高校時代を最後に、この競技からフェードアウトしてゆくが、君はどうなのだろうか?
 
 もう少し、時間が経ったら、そんなことを聞いてみたいと思うよ。

 素晴らしいキャプテンであった君。ちょっと、肩の荷を降ろして、今度は「人間・片山ななえ」としての本領を発揮してくれることを切に願っている。


そして、新世代へ
2004.6.19 鶴北戦
 
 6月19日(土)、第20回鶴北戦(鶴嶺・北陵交流戦)は、男子が県大会を勝ち進み、ブロック決勝の日程と重なったため、残念ながら(喜ぶべきか?)中止。女子のみが実施された。

 岡崎先生は1年生たちのポジション適性を見たいので、満遍なく選手を使う予定、とのことだった。

 鶴北戦は、バスケットに限らず、多くの部にとって、2年生主体の新チームの船出となる。昨年も、この鶴北戦が北陵バスケット部を初めて取材する機会であった。

 ゲームの方は予想通り、と言っては鶴嶺に失礼なのであるが、北陵が完全に主導権を握るものであり、大差で勝利したのだが、この時期、勝ち負けはそれほどの重要性を持たない。

 1年生たちも北陵のユニフォームを着て試合に出られる喜びも大きかったようだ。

 新キャプテンの今井陽水(あきみ)さんを中心に、これから新しい北陵女子バスケット部の1ページが刻まれてゆくこととなる。
 
  
  

新キャプテンにインタビュー

今井陽水キャプテン(右)と
近藤めぐみさん(中)
 
 片山さんからキャプテンの座を引き継いだのは、センターの今井陽水(あきみ)さん。先日の荏田高校戦でも大活躍し、今後のさらなるブレイクが期待される。

 岡崎先生は「まあ、片山とはタイプの違うキャプテンになるとは思いますが、彼女がキャプテンになることで、チームがさらに戦える集団になると、自信を持っています。」と語っている。
 
 で、鶴北戦終了後、インタビューを試みようとしたら、意外にも(?)シャイなのか、やはり前チームからスタメンで活躍する近藤めぐみさんを連れてきて、「メグ、一緒に。お願い!」ときたもんだ。

 今後、北陵の中心選手となるであろう二人にちょっとだけ質問してみました。

Q 今日の試合を振り返ってどうでしたか?
A まだまだ、全然….です。 ディフェンスも出来てなかったです。
Q 新チームの雰囲気はどうですか?
A 人数も多くて、とても明るくていいです。
Q 目標を教えてください。
A 県ベスト4に入って、関東大会へ出場!
Q どんなチームを目指していますか?
A 責任感のあるチームにしていきたいです。
Q 顧問の岡崎先生はどんな指導者ですか?
A とても熱くて、親近感のある先生です。

 彼女たちのバスケットの能力が高いことは、既に証明済み。また、新1年生にも有力選手がたくさんいる。そうした中で、いかに『責任感のあるチーム』を育んでゆくか、ということに注目したい。

 今井キャプテンには、是非とも独自の色を出してもらいたいと思う。

 頑張れ、北陵女子バスケット部。『部活.ネット』では、引き続き、君たちを応援してゆきます。

インターハイ予選男子ブロック決勝[対慶応藤沢戦] ◇2003年度鶴嶺高校バスケット部訪問記
顧問:須藤敬彦先生
チームが成長する時
 
 お訪ねしたのは、3年生諸君が引退を懸けたインターハイ湘南地区予選。正式に訪問するのは1年振りであった。

 この日は女子1回戦と男子2回戦が、鶴嶺高校体育館で行われることになっていたのだが、取材をするための条件をいくつか自らに課していた。

(1)男子チームが1回戦を勝ち抜いていること
 ※対湘南台高校戦。見事に勝っていることを当日の朝、こっそり確認しました
(2)男女とも、この日の試合で勝利すること

 実は、昨年、我々『部活.ネット』スタッフが取材と応援を兼ねて、試合(インターハイ予選)にお邪魔した時、ハーフタイムを終えて、20点差をつけて勝っていたところを大逆転負けするというシーンと遭遇。さすがにインタビューなどは遠慮させてもらった経緯がある。

 そこで、初めから「勝った場合だけ」取材させてもらうことにしたのだが、

 我々が行ったせいで負けた

 という惨状にならないよう、ひたすら祈りながらの観戦となった。

男子:平面攻撃に磨き。藤沢西を寄り切る
  
  
 ハッキリ言うと、鶴嶺男子はサイズがない。これは、昨年から変わらず、最長身はセンター・唐沢くんの180センチ。近隣の北陵高校などと比較すると、ゴール近辺での劣勢は免れない。

 そこで、当然の帰着として「平面のスピード」で高さに対抗せざるを得ない。この発想は、秋田の能代工業が身長のないハンデを克服してゆく過程の中で、具現化していったものでもある。

 そのハンデを少し緩和してくれるルールが今年から採用されるようになった。

 今まで、各クォーターごとにジャンプボールでゲームが開始されていたが、今年からは第1Q・第3Qの開始時だけとなり、さらに、ヘルドボール(両チームの選手がボールに対して五分五分でつかみ合って膠着した状態)の時にも、ジャンプボールはなくなり、交互にボールの所有権が渡るシステムとなったのだ。

 このルール改正は「バスケットはサイズが何よりもモノを言う」という、身長のない選手・チームを嘆かせてきた壁を少し低くするものであり、NBAなどでは既に採用されていたものだ。

 いずれにせよ、接戦で終盤を迎えた際には、このルール変更が結果を左右する可能性も十分あり、鶴嶺などのサイズで劣るチームにとっては幸いであろう。

 さて、この日の対戦相手となった藤沢西高校も、あまりサイズはない。サイズのないチーム同士の戦いになれば、鶴嶺に一日の長があると思われたが、結果はまさにその通りとなった。

 最終クォーターにちょっと追い込まれるシーンもあったが、精神的に崩れるところもなく、序盤からのリードを少しずつ着実に広げて、79対63で勝利した。

 これでブロック決勝進出を決め、5月23日には県大会出場を懸けて、慶応藤沢と戦うことになった。

女子:キャプテン退場で、より冷静に。最終クォーターの逆転劇
  
  
写真右下は、今春の卒業生である岡本美由希さんと晴山かおりさん。ハーフタイムのインタビューでは、「自信なさげで、攻め切れていない」と、少しもどかしそうであった。逆転勝ちしてよかったね。
 
 昨年の鶴北戦(鶴嶺・北陵の運動部交流戦。2年生主力のチームでの初の対外試合となる)で、鶴嶺女子バスケット部は19−118というスコアで北陵にコテンパンにやられた。その後も、新人戦県準優勝の藤沢工科に2−98という屈辱とも言えるスコアで敗れたこともあった。

 今挙げた数字だけを見ると、鶴嶺女子バスケット部は弱小なのかと思いたくなるのも無理はない。鶴北戦を見ていた私(管理人)も、「マジで大丈夫か?」と心配していた。

 ところが、昨年のチームがそうだったように、最後の大会に向けてのフィジカル・メンタル両面での成長は著しいものがあるのだ。

 春の関東大会予選では、あと一歩のところで(鵠沼高校に1点差)県大会出場、というところまで這い上がってきた。

 『伝統』というひとことで片付けてはならないのかもしれないが、やはり、その言葉を用いざるを得ないのかもしれない。

 女子チームは代々、キャプテンを中心に『自治の精神』によってまとまってきた。言うべきことを言い合い、時には泣きながらチームに一体感が生まれてきた、という歴史を持っている。

 この日、対鎌倉女学院戦は、ゲームの流れが二転三転する目まぐるしさであった。各クォーター終了時の得点経過を見ても、それが伺われる。

 ◇第1クォーター 鶴嶺12−16鎌倉女学院
 ◇第2クォーター 鶴嶺28−27鎌倉女学院
 ◇第3クォーター 鶴嶺44−51鎌倉女学院

 揺れ続けた流れを最後に引き寄せたのは鶴嶺であった。

 序盤、エンジンの掛かりが悪かったキャプテン・有山さんのシュートも入るようになったのだが、いかんせん主力がファールトラブルに見舞われていた。そして、そのキャプテンが5ファールで退場となり、いよいよ勝敗の行方は混沌としてきた。

 しかし、そこからが『自治の精神』によって育まれた「信じる力」の結晶であった。

 1ゴールを争う中で、鶴嶺のフリースローが決まりだした。接戦でモノを言うのが、このフリースローである。決まれば選手・ベンチとも落ち着く、という効果もあるが、決められるかどうかは冷静さ・平常心にかかっている。

 有山キャプテンは「きっと決めてくれると信じていた」と試合後語ってくれた。自分がプレーできないほどもどかしいものはなかったであろうが、キャプテン不在の緊急事態がチームを成長させ、逆転劇をもたらしたとも言えるだろう。

 ◇第4クォーター 鶴嶺68−61鎌倉女学院

 次戦は強豪・茅ヶ崎高校。ひじょうによく鍛えられたチームであり、勝つのは容易ではない。しかし、1ゲーム経るごとに逞しくなるこの時期、練習してきたことを全て出し切ってもらいたいと念願する。
(と言うか、茅高にも取材に行かせてもらったこともあり、できればどちらにも勝ってもらいたい...っていうのは、ムシがよすぎますか?)
ホームコートということもあってか、鶴嶺高校の応援はうるさいほどであった。その中心は1年生たちであり、彼らはきっと先輩たちの頑張りを目に焼き付けていることだろう。
 
  
部員の父母、OB・OGたちで用意された椅子はほとんど埋まっていた。やはり、他の大会よりボルテージは高いようだ。

いくつかの危機を乗り越えて
 どんな部活も同じかもしれないが、チームがチームとしてまとまり、機能するためには、何度か危機が訪れるもののようだ。鶴嶺高校男子バスケットも例外ではなかったらしい。

 昨年、前述の大逆転負けの日から新チームのキャプテンを託されたのはシューティングガードの中井章雄くん。彼は2年生当時から、優れた運動能力を発揮し、3年生に伍して勝負できる力があった。

 そんな彼であったが、チームが一体化しない時期もあり、苦悩もしたようだ。(須藤先生・談)

 彼らは高校生であり、バスケットボール(に限らないが)は「仕事」ではない。当然、時期により、また、人により、温度差が生じることは容易に想像される。

 大切なのは、そこで「じゃあ、もうどうでもいいや」と投げてしまうかどうか、ということであろう。

 投げ出せば、一旦楽になる。しかし、そうすることがのちのち悔いを残し、自責の念に駆られることもある。どうやら彼と彼らは投げ出さずに済んだらしい。
(私=管理人は「投げ出された」チームもいくつか見てきた。それはそれは悲惨なものだよ)

 勿論、そこには顧問である須藤先生のバックアップが不可欠であったはずだが、引退を懸けた最後の大会、いくつかの障害を乗り越えた分だけ、彼らは逞しくなった。

 ブロック決勝が楽しみである。
  

インタビューしましたぞ
  
左)キャプテン中井章雄くん。慶応戦への抱負を語ってくれた 中)その中井くんのお母様(右側)が応援に。...若い! 右)闘将・須藤先生。試合中はほとんど立っている
 
☆★☆★男子部キャプテン・中井章雄くん

Q:今日の試合はどうだったかな?
A:昨日(対湘南台戦)はあまりいいゲームではなかったのですが、今日は得点も結構取れたし(79点)リズムはよかったと思います。
Q:やはり、サイズのない分スピードで、ということに重点を置いていますか?
A:そうですね。100点ゲームができるくらいだといいですが、各クォーター20点平均取る、というのが自分たちらしさだと思います。平面のスピードで負けたら、勝てませんから。
Q:今日はシュートだけでなく、ナイスアシストもありましたね。
A:えぇ(ちょっと照れる)。
Q:では、ブロック決勝の慶応藤沢戦に向けて、抱負をお願いします。
A:リズムを大切に、自分たちの戦い方であるスピードを前面に出して戦いたいです。今日の後半のような戦い方ならイケると思ってます。
Q:念願の県大会出場に向けて、頑張って下さい。お疲れ様でした。
 
☆★☆★中井くんのお母様・暁子さん
 
 ハーフタイムと試合終了後に、キャプテン・中井くんのお母様にお話を伺いました。

Q:今日の試合はいかがですか?
A:藤沢西の小林くん(背番号13・ガード。中井くんとマッチアップ)は中学時代(茅ヶ崎一中)のキャプテンで、鶴嶺の篠田光洋くんも一緒にやっていました。彼ら3人は、小学生の頃から、チップスというチームで主人がコーチしていたので、引退前の大会で一緒にプレーするのを見ると感無量です。
Q:やはり思い入れが?
A:そうですね。息子とともに小さい頃から見てきましたから、2人に対しては息子と同じような気持ちになります。
(瞳は既にうるうる状態....)
Q:今日、息子さんが小林くんと引退を懸けて戦うことについては?
A:一緒に試合することが、とても楽しそうですね。
(さらにうるうる度上昇...)

 中井くんは、お母様が試合観戦に来るのはもう当たり前になっているので、どうせならずっと来てくれ、と言っているらしい。試合後にはお母様が感想を言ってくれるのが嬉しいそうだ。

 とても仲のよい親子で、こちらもちょっぴり幸せな気持ちになります。ありがとうございました。
 
☆★☆★女子部キャブテン・有山莉那さん
 
Q:いやぁ、ちょっとヒヤヒヤしたけど、初戦の勝利おめでとう。試合のデキはどうでしたか?
A:プレッシャーに負けて、出だしが悪かったですね。最初の方、シュートが入らなくて雰囲気が盛り上がりませんでした。
Q:外から見ていると、去年の方がある意味「気楽」にプレーしていたように思いましたが、実際、本人の感覚としてはどうなんでしょう?
A:やはり、キャプテンで、自分がポイントゲッターだということは重いですね。去年は先輩たちがいてくれたので、安心感がありました。
Q:キャプテンとしてどんな苦労がありましたか?
A:チームがまとまらなくて...。本当に、つい最近のミーティングで一つになれたような気がします。
Q:さて、次は難敵の茅高ですが、どんな試合をしたいですか?
A:相手が強いチームなので、思い切ってぶつかってゆけます。とにかく、気持ちで負けないように、元気にプレーして、悔いの残らないよう完全燃焼したいです。
Q:どうもありがとうございました。次戦も頑張って下さいね。
 
☆★☆★須藤敬彦先生
 
 体育準備室に招き入れて頂き、いろいろと伺いました。

Q:本日は男女とも勝利、おめでとうございます。試合内容はどうでしたか?
A:男子はこちらの形を崩されることがなかったので、点差を詰められた時も、あまり心配なかったですね。女子は、もう最後は根性ですよ。ホームコートアドバンテージもあったと思います。
Q:それぞれ次戦についてはいかがですか?
A:女子は茅高が相手ですから、当たって砕けろ、というところですね。ハートで負けないように、攻める気持ちを持って走れるようにしたいです。
Q:男子はいよいよ県大会を懸けての慶応藤沢戦ですが...
A:慶応はシュートは巧いし、抜け目がないです。相手のエースをどう抑えるかがポイントですね。身長185センチくらいでダンクもできるような選手ですが、3ポイントまでありますから。
Q:何か秘策は?
A:とにかくリバウンドです。だから、今はスクリーンアウト、ブロックアウト、タップアウト(いずれも相手にリバウンドを取らせないスキル)を反復しています。
Q:今日の試合でも、それは垣間見えましたね。
A:ええ、ようやく定着してきました。
Q:鍵を握るのは誰になりますか?
A:う〜ん、試合に出る選手は皆、キープレーヤーですが、身長でギャップのあるセンターの唐沢がどれほど頑張れるか、ポイントガードの大関の視野が広くあれるか、中井が1対1で勝負できるか、といったところですか。
Q:流れとしては、やはりスピード重視で?
A:オフェンスでは、いかにドリブルを少なくして、パスで繋いでいくか、というところが大事でしょうね。あと、どうも第2クォーターの出来が悪い傾向があるので、イージーシュートを外さない、ディフェンスで頑張るといったところが課題になります。
Q:どうもありがとうございました。健闘を祈っています。

 バスケットのことになると、いつまでも語ってくれるのではないかと思うほど、饒舌な須藤先生。いよいよ、男子は2年越しの夢である「県大会出場」まで、あと1勝。勝ち負けはともかく、様々な壁を超えて到達したこの試合に、やってきた全てをぶつけてもらいたい。

 また、応援に行きますね。コーヒーご馳走様でした。

女子、2回戦で燃え尽きる 5/22[対茅ヶ崎高校]
 
 苦戦を強いられるのは覚悟の上だった。相手は県でもベスト16に入る茅高である。しかし、「だからこそ、思い切ってぶつかれる」という気持ちで戦った。

 結果は30−89で敗れてしまった。茅高はブロック決勝でも慶応藤沢を破り、県大会へとコマを進めた。

 23日、男子ブロック決勝の応援に来ていた有山キャプテンに少しインタビューさせてもらった。
 
★☆★女子部キャプテンにインタビュー★☆★

Q:昨日の試合が終わって、今の心境はいかがですか?
A:相手が強くても、気持ちは絶対に勝ちたいと思っていました。最初の3分位は0−0で、イケると思いました。でも、シュートが入らないまま終わってしまいました。声は負けていなかったと思います。ベンチの応援がすごくて力をもらいました。50点位差がついてしまいましたが、皆最後まで頑張ってくれました。最後だから楽しくやろうと思っていました。

女子部キャプテンの有山莉那さん

Q:キャプテンとしてご苦労もあったと思いますが、今仲間に対して自分の中から溢れて来るのは、どういう思いですか?
A:1人1人近い存在になれました。やめたいと思ったこともあったけれど、皆がいたからここまで来れました。皆のキャプテンをやれて良かったです。
(この質問に答える時の彼女は、表情が生き生きとして、とても輝いていました。)
Q:最後に、差し支えなければ将来の進路や夢をお聞かせいただけますか?
A:まだ何も決まっていないけれど、バスケには関わって行きたいです。
Q:どうもありがとうございました。


男子、県大会への壁は高かった 5/23[対慶応藤沢高校]
 
 昨年の悔しさを肌で感じてきた現3年生たちは、慶応藤沢の高い壁に立ち向かった。サイズで敵わないことは百も承知であるが、実際に戦ってみると、それを強く感じずにはいられない。

 ブロック決勝のこの試合。勝てば念願の県大会進出だ。顧問の須藤先生も、対慶応に向け、いかに相手にリバウンドを渡さないか、ということを中心に選手を鍛えてきた。

 慶応はサイズだけでなく、走力もあり、巧さも兼ね備えているという、なかなかいいチームだ。

 前半から第3クォーターの途中まで、何とか1ケタ得点差でついていった鶴嶺であったが、慶応にリバウンド・パスカットからの速攻を決められ、じりじりと点差が開く。

 結局、63−79で押し切られてゲームセットとなった。

 と、こう文字で書くと味気ないものがあるが、鶴嶺高校男子バスケット部がここまで戦えるようになったのは、本当にごく最近のことなのである。よく頑張ったと誉めたい気持ちである。

  残念ながら、現3年生たちは、これで引退となるが、1・2年生が諸々の財産を引き継いでゆくことであろう。新チームにも鶴北戦(6/19)あたりで取材に伺わせてもらう予定なので、また、元気な姿を見せてもらいたいと願います。
 
  
闘将・須藤先生に率いられ、成長を続けた鶴嶺男子バスケット部。この日、慶応藤沢戦に破れ、県大会まであと一歩であったが、1・2年生諸君は「来年こそ」の気持ちでプレーして下さい。また、応援に行きますね。

最大のサポーター
 控えの部員、OB・OG、クラスメイト、学校の先生たち...。

 いろいろな人たちが支えることで部活動は成立しているが、何と言っても、選手にとって、親こそが最大のサポーターである。ハラハラ心配しながら、叱咤しながら、時に喧嘩しながらも、「無償の愛」で支えてくれる親御さんには、選手諸君も感謝の気持ちを込めて、プレーしてもらいたいと思う。

 今回は選手父兄を代表して、試合の応援にお越しになっていた男子部キャプテンの中井章雄くんのご両親にインタビューしてみました。
 
★☆★親御さんにインタビュー★☆★

 中井章雄キャプテンのお父様・良毅さんは、章雄くんをはじめ、近隣の子供たちにバスケットを教えてきた。その息子の引退を懸けた試合を観戦に来られて、感無量といったところをお邪魔した。

<試合前>
Q:学校の時からコーチとして指導をされていらっしゃいましたが、実際に指導されたのは小学生までですか?
A:そうです。中学からは全て部活です。
Q:コーチをなさっていた時と今とでは、試合を見る時の思いは異なりますか?
A:同じですね。小学校の時はコーチでありながらもやはり自分の子どもとして見てしまっていましたから。
中学から自分の手を離れ、親としてだけの立場で試合を見ることができるようになりました。その分、今の方がハラハラドキドキしますね。

<試合後>
Q:これで引退ということになるわけですが、寂しさはありますか?
A:そうですね。小学生の時からずっとバスケットをやって来て、できれば高校3年まで続けて欲しいと思っていました。
(引退は寂しいけれども、章雄君が最後まで続けて来た事に対する満足感でいっぱいのご様子でした。)
Q:願いが叶ったわけですね。ご自身はバスケットはいつまで?
A:実はバスケットの経験は無いんです。中学で陸上をやり、北陵高校で陸上部に入ったものの1年でやめたので、高校時代はその後何もやっていませんでした。大学でアメフトをやり、それまでの個人競技の陸上と違って、初めて団体競技の良さ味わいました。それで、章雄にもぜひ団体競技をやって欲しいと思いました。先輩・後輩・チームメイトと協力し合う団体競技をやって欲しかったのです。
Q:章雄君にとってバスケットはとても大きい存在ですね。
A:ええ。一つのスポーツを小学生から高3まで続けて来られたことが、この先何かの時に自信を持つことに繋がると思います。
(感無量の思いが伝わって来ました。)
Q:章雄君は、今後バスケットは?
A:大学へ行っても続けて欲しいです。大学へ行ければ・・・ですけれど。(笑)
 
 引き続き、先週の試合にも来られていたお母様の暁子さんにもインタビューしました。

Q:今朝はどんな風に送り出しましたか?
A:朝食にカツサンド、フレンチトースト(中井君の好物だそうです)、フレッシュジュースを用意しました。
Q:それは試合の日の定番ですか?
A:いつもは、前の晩の残り物とか。(笑)
Q:特に何か言葉をかけましたか?
A:「コバ(藤沢西の小林君。小・中学生時代のチームメイト)に恥ずかしくない試合をしておいで。」と言いました。
Q:章雄君のバスケットを通じて、得たものはありますか?
A:何だろう?「生きる力」かな。
Q:(意外にも、先日の試合後の泣きはらした顔と違って爽やかな笑顔だったので)この前の試合の時の方がうるうるでしたよね?
A:やっぱり小林君と章雄との試合っていうことが大きかったです。思い入れが強くて・・・。

 インタビュアーがもともと中井くんのご両親と知り合いだったので、いろいろと内輪話も聞かせてもらいました。子供が頑張ることで、親も「生きる力」を与えられる、というのは素晴らしいことですね。ご協力ありがとうございました。

明日への糧
 残念ながら敗れてしまった闘将・須藤先生にもお話を伺いました。

Q:お疲れのところ、申し訳ありません。残念でしたね・・・。
A:いい結果での取材でなくて・・・。
Q:慶応は身長が高かったですね。
A:身長が高いことはわかっていましたから。今日の試合自体は、ミスは少なかったです。慶応との前回の試合よりもいい。リバウンドを取らせなかったので。前回はすぐ後ろから手が出て、特に10番に持って行かれました。第3クォーターが山場でしたね。走られてしまい、ディフェンスが機能しなかった。
Q:3年生に対するお気持ちはいかがですか?
A:思い入れが強いですね。鶴嶺に来て最初の代はすぐ引退で、次は全員やめました。今の3年の1つ上の代11人で始めました。勝てなくて、公式戦は1勝のみでした。まとまらせようと、あらゆる試みをしました。今の3年は私にとっての2代目に当たります。上の代より実力もあり、県を狙えるところで戦えました。だから、思い入れが強いです。ただ、個性派揃いなので、キャプテンは苦労したと思います。
Q:写真撮影の時は、皆いい表情をしていましたね。
A:ええ、それはもう。
Q:お忙しいところを、どうもありがとうございました。

 昨年、初めてお訪ねした時「夢なき者は理想なし。理想なき者は目標なし。目標なき者は実行なし。実行なき者は成果なし。」という部訓(?)を語って頂いたのを印象強く覚えている。

 須藤先生にとって、県大会出場は究極の目標ではなく、通過点であろう。是非、新チームを鍛え上げ、「夢」に一歩ずつ近づいてもらいたいと願うばかりである。

 また、鶴北戦で再会できることを希望しています。お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。