高校B部門:7/31up ◆高校A部門:7/29up

B部門 〜藤沢西,底力を見せ県大会へ〜
 
毎年思うことですが、B部門はいいですね。

少ない人数で懸命に工夫して、何とかコンクールに出ようという心意気の学校には胸を打たれます。

今年も何度か涙が溢れそうになりました。

結果は以下に示す通りですが、藤沢総合と入れ替わるように、昨年までA部門に出場していた藤沢西が今年はBへの出場となり、そのことがどういう影響をもたらすか、ということや、昨年10年ぶりの金賞を獲得した西浜がどんな演奏を聴かせてくれるか、昨年東関東大会に進出した慶應湘南の今年の仕上がりはどうか、興味は尽きませんでした。

県大会出場を決めた慶應・藤沢西の両チームには県大会ではさらなる素晴らしい演奏を期待しています。

残念ながら県大会への出場叶わなかった学校の皆さん、お疲れ様でした。
音楽人生が終わったわけではありませんから、これからも楽しんで演奏して下さいね。


第16回湘南吹奏楽コンクール B部門 結果
 
寒川:銀

慶應湘南藤沢:金[県大会出場]

湘南学園:金

西浜:銀

アレセイア湘南:銅

藤沢西:金[県大会出場]

 

B部門出場各校の演奏を聴いての感想を書かせてもらいますね。

今年は演奏者数・男子数・コントラバスの有無に加えて、打楽器(ピアノ含む)に何人配置しているかも書いてみます。
あくまで管理人の認識だが、打楽器に多くの人数を割ける、というのはある種の贅沢感がありますので。
また、楽器構成(ピッコロはフルートの中に含んでいます)も管理人のわかる範囲で書いてみます。
(部員数・男子数・楽器構成は管理人目視によるもので、違っていたらゴメンなさい)
 
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寒川 17人 男子5 打楽器:全員
管楽アンサンブルの為のアポクリファ[清水大輔]
 ◆コントラバス:0 打楽器:4 チューバ:1 ユーフォニアム:2 トランペット:1 トロンボーン:1 ホルン:2 フルート:1 サックス:3 クラリネット:2

曲の始まりでは全員が打楽器を扱い、現代音楽風と言えるおどろおどろしい雰囲気を醸し出していた。
男子の割合が比較的高いということもあって、男の子が頑張っている印象があった。
チャレンジ精神溢れる選曲とステージ上の工夫は人数の少なさを補って余りある素晴らしさがあった。
曲の最後もまた全員打楽器に戻り、ビジュアル的にも楽しませてくれた。
指揮者が替わって2度目のコンクールで、まだ過渡期という印象もあるが、これからが楽しみである。
ユニフォームのシャツの色が白になっていたけど、去年もそうだっけ?

慶應湘南藤沢 30人 男子6 打楽器:5
エル・カミーノ・レアル[リード]
 ◆コントラバス:1 打楽器:4 チューバ:2 ユーフォニアム:1 トランペット:3 トロンボーン:3 ホルン:4 フルート:2 サックス:4 クラリネット:4 オーボエ:1 ファゴット:1

ステージでの楽器配置が縦に長い(奥行きがある、と言えばいいのか)印象だったのだが、そうした楽器配置は楽譜に書いてあるのか、という疑問が湧いたが、現時点では不明...
演奏は「貫禄」と呼ぶに相応しいもので、ものすごくシンプルに言うと、『情熱・誘惑・心揺さぶる金管⇒澄み渡るような青空をゆっくりとしたテンポで描写⇒フルートのきっかけから大盛り上がり』で、また聴きたいと思わせるものだった。
曲の途中、打楽器のメンバーが軽やかに入れ替わるのを見て、「もしやこの場面を相当練習しているのでは...」と思わずにいられなかった。
県大会以降が楽しみなバンドですね。

湘南学園 21人 男子0 打楽器:2
喜歌劇「美しきエレーヌ」序曲[オッフェンバック/鈴木英史]
 ◆コントラバス:1 打楽器:2 ユーフォニアム:1 トランペット:2 トロンボーン:1 ホルン:2 フルート:2 サックス:5 クラリネット:4 オーボエ:1

慶應とは対照的に、演奏者をステージ中央にぎゅっと集めた感じで、とにかく終始“かわいらしい”演奏だったという印象が残る。
人数の関係もあって、劇的大音量とはいかないが、その中での強弱感と丁寧な音出しは、誠実に音楽と向き合っている証左と言えるのではなかろうか。
終盤の場面転換が繰り返されるところは繊細に吹けていて、楽しませてもらった。
金賞ということで、自信にも繋がったのではないでしょうか。

西浜 13人 男子1 打楽器:2
ドット・イコール・ポップ・アート〜ロイ・リキテンスタインのための音楽〜[清水大輔]

 ◆コントラバス:1(トランペットと兼任) 打楽器:3 チューバ:1(トロンボーンと兼任) トランペット:1 トロンボーン:1 サックス:3 クラリネット:3

今回、最少人数編成となった西浜。
実は管理人の勝手な思い込みで、昨夏の金賞で部員がもっと増えているものとして、今日を迎えていた。
しかし、演奏は人数の少なさを言い訳にしない気慨に満ちており、サックスを中心に木管群が頑張りを見せたほか、最後にコントラバスとドラムセットとの掛け合いから盛り上がる場面は痺れた。
何とか部員が増えるといいなぁ...

アレセイア湘南 23人 男子3 打楽器:6
アルイランドの伝説[スミス]
 ◆コントラバス:0 打楽器:6 チューバ:2 ユーフォニアム:1 トランペット:3 トロンボーン:2 ホルン:1 フルート:2 サックス:3 クラリネット:3

実は管理人の中では「もしや金賞?」と思った演奏だった。
6人を配置した打楽器群を起点に、次々に音が加わり、ダイナミクスもあった上、最後には足で床を踏み鳴らすというビジュアル効果もあって、とてもお気に入りの演奏だった。
少なくとも管理人がこれまで聴かせてもらったアレセイアのコンクールでの演奏史上、間違いなく最も落ち着きがあり、最もよいものであったと断言する。
これからも是非頑張って下さい。

藤沢西 30人 男子3 打楽器:4
新しき人へ[河邊一彦]
 ◆コントラバス:1 打楽器:4 チューバ:3 ユーフォニアム:1 トランペット:3 トロンボーン:3 ホルン:4 フルート:3 サックス:5 クラリネット:4 

出だしから分厚い音で圧倒するインパクトの中、特に金管の低音がしっかり鳴っている印象。
楽曲の意図を掴んだ絵画性十分な色彩で、バランス・シンクロ性の高さはもちろん、丁寧に、音を遠くまで届かせようという意欲を感じる演奏だった。
指揮者である丸山先生との長い付き合いを思い出して、演奏を聴いている最中、ちょっぴり涙が出てしまいました。
県大会ではさらなる飛躍を期待しています。

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管理人が自らの音楽活動を再開させる一つの要因となった吹奏楽の取材ですが、やはりいいものですね。

心配があるとすれば、部員数があまり増加しない傾向にあるということでしょうか。

軽音楽部が悪いとは言いませんが、大人がちゃんと指導してくれる吹奏楽部で過ごすことは、音楽的にも人間的にも成長できるチャンスは多いように思います。

部活ネットでは、生徒諸君はもちろん、指導されている皆さんへの敬意を忘れず、これからも吹奏楽とお付き合いさせて頂きたいと願っています。

会場で進行のお手伝いをしていた各校部員の皆さん、お疲れ様。

県大会出場権のある学校の人は、より集中して練習し、今まで会ったことのない新たな自分と出会って下さい。

健闘を祈ります。
 

A部門 〜藤沢総合,A部門初チャレンジ即県大会への切符獲得〜
 
ここ数日は街を歩いているだけで嫌な感じの汗をかきます。
ただ暑いというだけでなく、粘りつくような湿気もあり、叶うことなら外へ出ずに、冷房の効いた部屋で過ごしたいような気にさせます。

さて、今年の湘南吹奏楽コンクールも熱い戦いとなりました。
注目は昨夏B部門で東関東大会まで進出した藤沢総合が、A部門でどこまで力を発揮できるか、という点でした。

これまで幾多の学校がB部門で好成績を残した翌年、A部門で跳ね返されてきたのを見ているので、心配もありました。

AとBの最大の違いは、ステージに上がれる人数の大小というより、課題曲と自由曲の2曲を演奏しなければならない点だと管理人には思えます。

また、演奏者数が増えれば、それだけバランスを取るのも当然難しくなるわけです。

頭でわかっていても、簡単にステージでの演奏にフィードバックさせることは出来ないことなのでしょうが、標題の通り、藤沢総合はトップバッターという緊張も乗り越え、見事県大会への切符を手にしました。

もちろん、昨年はBで東関東大会に進出し、堂々の金賞を獲ったという経験はありますが、一筋縄ではいかなかったはずです。

指導された皆さん、部員の皆さん、ひとまずおめでとうございます。

湘南地区代表として、県大会で旋風を巻き起こして下さいね。
 



第16回湘南吹奏楽コンクール A部門 結果
 

藤沢総合:金[県大会出場]

鶴嶺:銅

湘南:金[県大会出場]

日大藤沢:銀

茅ヶ崎:銅

北陵:金



各校の演奏について、管理人が印象に残ったことを書かせてもらいます。
(部員数・男子数は管理人目視によるもので、違っていたらゴメンなさい)
 
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藤沢総合 53人 男子11 コントラバス2
◆課題曲V・・「秘儀V―旋回舞踏のためのヘテロフォニー[西村 朗]
◆自由曲・・・ウィンドオーケストラのためのマインドスケープ [高 昌帥]

自由曲は昨年の湘南が演奏したものと同じ(意図的ではないと思うが)であり、課題曲も含め、現代音楽テイストが漂う演奏で、強弱差が存分にありつつ、丁寧な仕上がりになっていた。
金管の力強さと木管のせつなさの両方を見事両立させるあたりはただものではない、といった印象だ。
これがトップバッターで基準となるため、間違いなくあとに出てくる学校にはプレッシャーにはなったろう。

鶴嶺 54人 男子7 コントラバス3
◆課題曲W・・マーチ「プロヴァンスの風」[田坂直樹]
◆自由曲・・・スピリチュアル・プラネット T,U,V[鉾山 亘]

2年連続県大会進出の鶴嶺であるが、今回は残念ながら銅。
しかし、管理人的にはけして悪い演奏には聴こえなかった。
丁寧な音出しで「音粒が揃っている」という印象を強く受けた。
けして強烈なインパクトを残すというタイプのバンドではないかもしれないが、誠実に演奏してくれるので、来年是非リベンジして欲しい。

湘南 55人 男子10 コントラバス2
◆課題曲V・・「秘儀V―旋回舞踏のためのヘテロフォニー[西村 朗]
◆自由曲・・・管弦楽のための饗宴[黛 敏郎/天野正道]

同じ課題曲を演奏した藤沢総合よりも、特に打楽器がやや抑え気味にスタートした感があったが、それも湘南DNAを活かすための序章だったのかもしれない。
ダイナミクスも半端ではなく、その上シンクロ性も高い。
自由曲は演奏が始まって、課題曲の第二楽章かと思うような流れで、それを十分に解釈した音楽性と物語性の高さは際立っていた。
途中いくつかのソロでも高いスキルが見て取れたし、弱奏時のシンクロ性への気遣いも素晴らしかった。
ただ、まだ伸び代があるようにも感じられたので、県大会までにさらに強靭なバンドに成長してくれることを望みます。

日大藤沢 48人 男子2 コントラバス2

◆課題曲W・・マーチ「プロヴァンスの風」[田坂直樹]
◆自由曲・・・フェスティバル・ヴァリエーション[スミス]

課題曲でのピッコロ、自由曲でのスネアなどは薄く、しかししっかりとバッキングしているという印象で、さすがと思わせた。
自由曲では、途中スローでけだるさとしっとり感もよく出せていて、管理人の好みに合っているという点では昨年以上だったかもしれない。
惜しくも銀賞であったが、目指す方向性はよいと思うので、来年会うのを楽しみにしていたい。
ちなみに、A部門ではこの日大藤沢だけが制服での演奏であり(他校は男女同一のユニフォーム)、却ってそれが新鮮に映った。

茅ヶ崎 41人 男子ゼロ コントラバス2

◆課題曲U・・マーチ「春の道を歩こう」[佐藤邦宏]
◆自由曲・・・アイヌ民謡「イヨマンテ」の主題による変奏曲[福島和弘]

人数が少ないということもあって、全体的な音量では他校に後塵を拝するきらいもあったが、逆に言えば、木管を中心とした中音量の演奏では、管理人の好きな“泣ける”演奏に仕上がっており、好印象。
管理人の聴き間違えでなければ『ねんねこしゃっしゃりませ〜』という子守唄のバリエーションと思しき旋律が数回繰り返されたが、あの部分を聴いて自らの幼少期を思い出し、せつない気持ちを感じさせてくれた。
どういう経緯で選曲したのはわからないが、バンドの構成や特性を考えた、素晴らしい選曲だったと思う。

北陵 54人 男子8 コントラバス3
◆課題曲W・・マーチ「プロヴァンスの風」[田坂直樹]
◆自由曲・・・序曲「ローマの謝肉祭」[ベルリオーズ]

課題曲も自由曲も終始安定した演奏で、特に自由曲での抑えた演奏とそこから激しく展開し、コントラストを冴えさせる運び、微かではあるがけして消えない音粒。
あたかもオーケストラであるかのようなめちゃめちゃ柔らかい、弦楽器の如き管。
湘南を「剛」とすれば、北陵は「柔」 であり、バンド特性を最大限に生かそうという選曲も素晴らしいと感じた。
管理人本日イチ押しの演奏だった。
県大会に行かせてあげたかったなぁ。
 
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A部門総括
 
湘南高校の演奏はここ数年、客席で聴いていても感動的です。

技術的な巧さももちろんあるのでしょうが、それをさらに支える「音楽解釈力」のようなものを強く感じさせてくれます。

3年生がほぼ参加していない状況での話なので、彼らはこれから県大会までの期間で一層輪郭のはっきりした音楽を作っていけるのではないかと期待しています。

また、A部門に満を持してチャレンジした藤沢総合は打楽器群のポジション交換もビジュアル的にかなり楽しませてもらいました。

臆することなく県大会でも演奏してもらいたいと願っています。

他の学校の関係者の皆さんも、お疲れ様でした。

これで部を引退する3年生もいることでしょう。

でも、音楽はやめないで。

音楽はとても大きな力を持っています。

それは知っているよね?