■07.09.09up

藤沢西高校吹奏楽部関係過去ログ
 ◇2004年ウィンターコンサート ◇2005年定演 ◇2006年訪問記 ◇2007年定演

管理人、学習能力なく...
 
 のっけから私事で申し訳ないのだが、管理人は8月半ば、人生最大の賭けとも言える「視力矯正手術」を決行した。

 何しろ35年近くに亘ってメガネのお世話になってきて、今更メガネが嫌だというわけでもないのだが、管理人の視力は一般的なメガネでは最早矯正できない領域にまで達しており、思い余って、春にはコンタクトレンズを作ってみたりもしたのだが、もともと目薬を差すことにすら恐怖を感じる体質であり、結局は恐ろしさと違和感・異物感からコンタクトもダメとなり、今後も美しいものを見ながら生きて行きたいというささやかな希望を叶えるため、ついに「レーシック」と呼ばれる手術を受けるに至ったわけだ。

 って、何でこんな話をしているかと言えばだね、その手術と今回の藤沢西高校吹奏楽部訪問とは切っても切れない関係があるわけだよ。

 昨年、やはり同時期に初の東関東大会出場を祝して取材に訪れた際(詳細はこちら)、取材場所である視聴覚室が校舎の5階にあり(勿論、知ったのは取材当日です)、その空気の薄さと過酷な階段昇降による疲労困憊で倒れそうになったのを昨日のことのように記憶している。

 いやいや、実は管理人の受けた「レーシック」という手術は目の手術ではあるのだが、術後3日間は「禁煙」しなければならないというもので、喫煙歴28年の管理人にとって、手術そのものの安全性とかよりも禁煙しなければならないという項目に、手術を受けることへのためらいを感じずにはいられないものだった。

 しかし、この“過酷な”取材を前に思い切って禁煙してみるか、という決断に至り、手術を受けることと相成ったわけである。つまり、管理人の視力に関する問題が解決されたとすれば、その大部分が藤沢西高校吹奏楽部のお蔭なのである。ついでに禁煙まで出来たとすれば(こちらについてはまだひと月弱なので、結論には至りませんが...)、思わぬ副産物です。

 ありがたや、藤西吹奏楽部!!!

 ところで、管理人が昨年なぜあれほどまでに息切れしたのかを思い出すに、単に取材場所が5階でエレベータもない、という状況だけでなく、カメラを車に忘れて取りに戻ったり、取材道具を視聴覚室に置き忘れてしまったりと、要はマヌケだったからなのだが、そういった意味に於いて、管理人の学習能力のなさは全く改善されていないことが判明している。

 今年の取材でも、ビデオのバッテリーを車に置いたまま5階まで張り切って駈け上がり、荷を解いて愕然...。

 目を治す前に脳を治すべきであることにようやく気づく管理人であった(泣)。
 
左)今年の文化祭は9月15,16日。コンクールとかぶるので大変! 中)いかんいかん。また、藤西名物の壁画がどういう経緯で描かれたか訊いてくるのを忘れました 右)取材日は台風接近でどうなることかと...

楽曲との運命的出会い
 
 あくまで管理人の個人的感想なのだが、ある一定以上の力量のあるバンドであれば、めぐり合う楽曲によってその個性が発揮される度合いが決定されるのではなかろうか。

 昨年、藤沢西が初の東関東大会出場をつかんだ背景には、「クラブ・ヨーロッパ」(エレビー作曲)という、彼らの個性を最大限発揮させる曲が不可欠であったし、今年も湘南地区のコンクールを聴いていると、そのバンドに合った曲を演奏しているかどうかはかなり大きなポイントになっていると感じられた。

2年部長の宮坂麻子さん(トロンボーン)と副部長の加田麻里さん(サックス)
 
 勿論、どの指導者も、また演奏者も自分たちの力を引き出してくれる楽曲を探すのに苦労はしているし、それが簡単に見つかるほど甘くはないのが現実だ。しかし、それゆえ実は演奏曲を決定する時点で、勝負(という言い方が正しいかどうかはわかりませんが)の幾ばくかは決まるとさえ思えるのである。

 まさに楽曲との出会いは運命である。

 で、藤沢西に関しては、昨年の「クラブ・ヨーロッパ」があまりにもハマり過ぎていたので、あれ以上の選曲があり得るのかどうか、正直言って疑問であった。

 しかし、あるものですなぁ...。

 コンクールで「セレブレーションズ」(ズデリック作曲)を聴いた時、背中が痺れ(管理人の感動指数が高い場合にしばしば起こる現象です)、「やるなぁ藤西」と思ったものでした。

 当然のことながら、その選曲は昨年同様スムーズに運んだものと予想していたら、さにあらず。大変な葛藤もあって決まったとのこと。

 藤沢西では例年5月に指揮の新倉徹也先生がその年のメンバーの個性なども考慮して5つほどの候補曲を持って、部員たちにお伺いを立てるそうな。で、たいてい、先生が「これかな」と思う曲と生徒たちが選ぶ曲が一致する。昨年の「クラブ・ヨーロッパ」はまさにその典型であった。

 しかし、今年は「セレブレーションズ」ともう一つの楽曲(それは今のところ秘密、とのこと)で部員の意見が真っ二つに分かれて収集がつかず、ついには新倉裁きによって「セレブレーションズ」に決定されたとのこと。

 管理人は部外者であるため、そういった楽曲決定のプロセスは知らなかったので、とても意外な気がした。というか、もう一つの楽曲が何であるのかにも興味津々である。でも、それはもしや既に来年のコンクール用に準備してるとか...?

 それはさておき、昨年から顕著に感じることとして、藤沢西のサウンドが少なくともコンクールに於いては「煽情的な音の追い掛け」(詳しくはこちら)を特徴としていて、「クラブ・ヨーロッパ」も「セレブレーションズ」もそれがビシッと決まる曲であることは間違いない。

 さらに「セレブレーションズ」は曲の出だし部分の緊張感が高く、技術的にも難しいため、うまく決まれば“煽情感”は昨年以上のものとなろう。管理人は個人的にはB部門の最高峰である東日本大会にまで行ってもらいたいなぁ、と密かに期待している。そのあたりについて、現役の部員にも訊いてみた。

管理人「いよいよコンクールの近づいてきたけど、この曲を演奏する時のイメージというのはどんな感じ?」
小川留依さん(3年部長)「テンポも速くて技術的に難しいから、先生からもあまりイメージは伝えられていませんね。」
川口遥さん(3年副部長)「運動会的...(苦笑)」

管理人「2年生の新幹部にもお聞きしましょう。東関東大会に向けて、抱負をお願いします。」
宮坂麻子さん(2年部長)「この曲を作り上げる、という気持ちですね。」
加田麻里さん(2年副部長)「県大会の時も関東のことは考えられなかったですし、今も曲に集中するだけですね。」

管理人「曲について注意している点は?」
宮坂部長「掛け合いの多い曲なので、他のパートとうまく連動することです。」
(管理人は宮坂さんの「掛け合い」という言葉を聞き、「ブラス煽情」というのはもしや吹奏楽用語では「掛け合い」と呼ばれているのかもしらんと悟った)
加田副部長「最初のテンポが狂わないように、ということを心がけています。メロの移り変わりでテンポがズレることがあるので、それを流れるようにしたいですね。」

管理人「最後に。東日本大会ということについて、多少は意識するかな?」
加田副部長「無欲です。関東のことも考えていませんでしたから。でも、金沢(東日本大会の会場)には行ってみたいよね、とか話は出ますけど(笑)」
宮坂部長「東関東のスケジュールが文化祭とかぶるので、それが大変ということで頭がいっぱいです(苦笑)。でも、コンクールも文化祭も一生懸命、演奏者も楽しんでやりたいと思います。」

男子部員、心の叫び(?)
 
副題:トーシローまかり通る...伊藤賢人くんの場合
 
 共学校の吹奏楽部に於いて、男子部員は稀少な存在である。その占有率は多いところでも30%程度であり、藤沢西でも48名の部員中、男子は7名。

 本日は貴重な男子部員のうち3人に代表として来てもらった。

(写真は左から3年河野翔太くん[サックス]、2年伊藤賢人くん[パーカッション]、2年鈴木理裕くん[サックス])
 
管理人「いやぁ、3人もいっぺんに男の子の話を聞けるのは久しぶりだ。まず、3年の河野くん。藤沢西の吹奏楽部というのはどういうところだろう?」
河野くん「他校は厳しいという話も聞きますが、うちはいい意味で一切それを感じないところです。学年間で最低限の礼儀はありますが、先輩・後輩でひじょうに仲がいい部活ですね。女の子が多いのには慣れました(笑)。」
管理人「藤沢西を選んだのは吹奏楽部に入るということが大きな決め手だったかな?」
河野くん「いえ。学力相応ということが第一でしたが、学校自体が部活に力を入れているというのはわかっていましたし、吹奏楽部に入ろうとは思っていました。」
(ちなみに河野くんは中学時代も吹奏楽部)
 
管理人「伊藤くんも中学時代は吹奏楽部かな?」
伊藤くん「いえ、卓球部でした。」
管理人「マジ?ということは全くの素人だったわけか。じゃ、何でまた吹奏楽に入ろうと思ったの?」
伊藤くん「入る気はなかったんですが、友達について部活見学に来たら、先輩が優しく楽器を触らせてくれて...」
管理人「おぉ、先輩も営業活動が大変だ(笑)。楽譜も読めなかったわけでしょ?やめたくならなかった?」
伊藤くん「最初は帰宅部でバイトでもやろうと思ってました。でも、やってみると意外に馴染んでしまって。」
管理人「吹奏楽のどこが楽しい?」
伊藤くん「タテが揃うと気持ちいいですし、なんか最後の一発のあとの余韻とか、いい感じです。」
(「タテが揃う」というのは吹奏楽用語の一種らしく、複数の楽器の音がピタリと同機することらしい。管理人のボキャブラリーで言うと「シンクロ性」ってところっすかね)

管理人「東関東大会へ向けての抱負を。」
伊藤くん「去年も出ていたんですが、あの頃は金賞とかの意味もわからなかったですし、東関東といってもピンときませんでしたが、今年は県よりもいい演奏をしたいという気持ちです。」
管理人「うん。君はもしかしたら吹奏楽をやってみたいけど、何となく気が引けてしまっている子たちに勇気を与えるかもしれないよ。高校から始めても出来るんだ、というところを見せて、是非頑張って演奏して下さいね。」

管理人「では、最後に鈴木くん。君は経験者なのかな?」
鈴木くん「はい。僕も実は最初は入部するつもりはなかったんですが、中学の先輩がいて、その人のお蔭で入ることにしました。」
管理人「女の子だらけで嫌気が差した、ということ?」
鈴木くん「正直、そういうこともありました。中学3年の時は同級には男子がいなくて、先輩たちがいなくなったら部活がつまらなく思えていましたから...」
管理人「で、たまたま中学時代の先輩が藤西吹奏楽にいた、と。」
鈴木くん「そうですね。それに河野先輩もいてくれましたから。」
管理人「東関東大会に向けて、抱負を。」
鈴木くん「吹奏楽をやってゆく上ではいろいろありますが、ステージに立つ瞬間は大好きです。幕が開いて、お客さんがいて、という緊張はなかなか味わえないですから。東関東も是非楽しんできたいです。」

(ここで河野先輩再登場)
河野くん「僕は正直言って、皆のレベルに追いつけていないのですが、皆と一緒に演奏が出来るようにしたいです。今、この曲が好きになっていて、好きになった曲をもっと好きになって、楽しく吹けるようにしたいです。ステージではその好きな曲を楽しんで吹きたいですね。」

 皆、一生懸命語ってくれてありがとう。これを読んだ吹奏楽に携わる男の子たちに少しでも勇気を与えることを心から祈ります。
 

『継続は力』というのは真実である
 
 一度だけなら「まぐれ」かもしれない。

 実際にはそんなことはないのだが、周囲の評価というのは時として「一度だけ」ということに対して冷たかったりする。

 それだけに藤沢西高校吹奏楽部が二年連続で東関東大会出場を射止めたのは喜ばしいし、近隣の中学生たちに与える影響もより大きなものになってゆくことであろう。

指揮者の新倉徹也先生
 
 管理人が思うに、藤沢西吹奏楽は現在「ツボにハマッた」状態である。

 いやいや、勿論いろんなご苦労もあろう。しかし、自分たちのバンドの色が見えて、こういう楽曲を演奏すればこんなふうに仕上がる、というのがかなりしっかりした輪郭でわかっているはずだ。だから、攻めの姿勢で音楽に対して取り組める。コンクールについても、戦略的になれる。

 こうなれたのも、顧問で指揮者の新倉徹也先生をはじめとする熱心な指導の賜物である。そして、沸点にまで到達した昨年の経験が大きな礎となり、今年はより確固たるステータスを築いた。

 「たまたまです。」

 新倉先生は謙遜するが、たまたまで二年連続県大会金賞・東関東大会出場は考えられない。 これがさらに来年以降に続いてゆくと素晴らしいが、それはまた来年楽しませてもらえれば幸いである。

 現在、部員48名。B編成でステージに乗れる限界数は35名。今後については未定とのことであるが、さらに部員が増えることも予想される。いずれはA編成へと進出することになるのかもしれない。
(今年のコンクールでは西浜・鶴嶺の2校がA編成に出場した)

 いずれにせよ、今ある藤沢西高校らしさを堅持しつつ、さらに新たなテイストを加えて、管理人をはじめとする音楽ファンを楽しませてくれることを願ってやまない。

 9月15日(土)千葉県文化会館にて行われる東関東大会高校B部門での健闘を祈ります。石川県金沢市で行われる東日本大会への出場が叶ったら、また取材しに行きますね。
 
本番さながらの「セレブレーションズ」演奏後、元気よく集合写真撮影。ちなみにこの曲のタイトルの意味、知ってますよね?東関東大会終了後、管理人から君たちへ贈りたい言葉です。

 
【ミニ編集後記 by 管理人】
 
  今回の取材は大変勉強になりました。

  「掛け合い」「タテが揃う」いった業界用語を覚えた(?)ことも勿論ですが、2年のパーカッション・伊藤くんのように、高校に入ってから、楽譜も全く読めないところから始めても一緒に演奏して、レベルの高いステージにまで到達できるという素晴らしさを教えてもらいました。

 本人はあまり意識していないようでしたが、それって簡単なことではないと思います。新倉先生も情熱次第ということを仰っていましたが、まさにその通り。君に続くような人がたくさん出てくるといいね。

 では、皆さん、また会いましょう。